第4話 ~家族と向き合う part1~

「さてと。」

「んっ?優海、どうしたの?」

「ちょっと部屋が散らかっているから片付けないとね。あと、衣替えもしたいかなって。」

「はいはーい!僕もお手伝いする!何すればいい?」

「ありがとう。うーん。どこをやってもらおうかな?」

優美は腕組をしながら部屋中を見渡しているうちに、ヒロキにやってほしいことを思いついたようだ。

「あっ、あそこやってもらおうかな。」

「どこどこ?」

そう言うヒロキの様子が、尻尾を振ってお座りして待っている犬みたいだ。

「ちょっと待っててね。」

優美は寝室に向かったまましばらく出てこなかった。その間にヒロキはダイニングに溜まっているゴミを分別していた。

「おまたせ~。」

しばらくして優海が寝室から出てきた。

「優海、ダイニングにあったゴミを分別しておいたよ!」

「ありがとうヒロキ。次はこっちだよ。」

優美はヒロキを寝室に通した。

「うわあ、本がたくさんある!」

そこには文庫本からプログラミング言語の教則本まで大量の本があった。

「本に付箋を貼ったの。赤の付箋は必要な本、黄色の付箋は人にあげたり売ったりする本、青色の付箋は処分する本だよ。」

「ふむふむ。」

「ヒロキには黄色の付箋が貼ってある本と青色の付箋が貼ってある本を本棚から出して、付箋の色ごとにまとめてダイニングテーブルの近くに置いてほしいんだ。」

「了解!」

「よろしい。じゃあ、私は買い物に行ってくるから、あとはよろしくね。」

「体調は大丈夫?」

「うん。平気だよ。」

「そっか。気をつけてね。いってらっしゃい。」

「いってきます。」

ヒロキは優美を見送り、寝室に戻ると改めて本の量に圧倒されてしまう。

「ふー。改めて見ると、物凄い本の数だなぁー。よし、始めるか!」

ヒロキはシャツの袖をまくり、作業を開始した。


作業開始から一時間が経ち、あらかた終わりが見えてきた。

「これでよしっと。あれ?付箋が貼られていないものがある。なんだろう?よっと…。」

ヒロキはそれを取り出し、中身を確認するとそれはアルバムだった。

「いいものみっけ♪まだ優海も帰ってこなさそうだし、見ーちゃおっと♪」

パラパラとアルバムを見ていくうちにヒロキは違和感を覚え始める。

「このアルバム、ちょっとおかしい箇所があるな…。」

不思議に思っていたところに玄関のドアが開いた。恐らく優海が帰ってきたのだろう。音に驚いたヒロキは、アルバムを急いで元の場所に戻し、玄関に向かった。

「ただいま、ヒロキ。」

「おかえり。優海。本の整理終わったよ。」

「ありがとう。ちょっと休憩しない?」

「そうだね。そうしようか。」


しばらくして、ヒロキはアルバムのことについて優海に聞いてみることにした。

「ねぇ、優海、聞きたいことがあるんだけど。」

「んっ?何?」

「優海は、お父さんとお母さんいないの?」

「えっ?急にどうしたの?」

ヒロキは寝室からアルバムを持ってきた。

「これ、付箋が貼られてなくて本棚の隅に置いてあったから、気になって中身見ちゃったの。アルバム見てしまってごめんなさい。」

「そんなこと気にしなくて大丈夫だよ。置きっぱなしにした私も悪いし。でも、どうして?」

「最初は興味本位だった。小さいころの優海を見たかったし。まだ帰ってこなさそうだったしね。だけど、アルバムには優海しか映っている写真しかなかった。他にも不自然な隙間があったり、破れた写真が貼られていたり不自然さが気になったんだよ。だから聞いてみた。」

「…そっか。うん。まずは質問に答えなきゃね。」

優海は複雑な表情を浮かべながら口を開いた。

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