第3話 転生4日目、衛生観念が絶望的な件
いやー、昨日風呂に入りたいと言ったときにめちゃくちゃ理解されなかったとか、トイレ事情がアレなのとか、洗濯とかそうじとかあんましてなさそうな感じの室内とかで察しは着いてたけど、それ以上にやばかった。
手洗いうがい?何それおいしいの?みたいな状態。
あまりにやばかったので、すごい初歩的なことから僕は始めることにした。
今回のウイルスは、物理的除去、洗浄で落とせる。
・掃除、洗濯を定期的にする
・石鹸を普及させる
・手洗いうがいを国民全体に浸透させる
・食糧事情を改善する
メモを見ながら、朝ご飯を持ってきてくれた人に確認をしていく。
「昨日来た薬師と話して超実感したのが、この世界めちゃくちゃ階級社会だってこと。一番上に王族、その次に魔法が使える貴族、苦手な貴族、成り上がり商人とかの層、農民、スラムって感じであってるよな?」
「はい、その通りです。」
さすがファンタジー。魔法が使えるかどうかでヒエラルキーのポジショニングが変わるとかやべえな。僕も王族レベルの扱いで本当に助かった。いや、めちゃくちゃアレだけど。
「掃除洗濯と食糧事情は、特に貴族以外の層がやばい。最近は不作でくず野菜を食べてしのいでることが多いらしい。そんな余裕のなさだから、住むところとかまで気が回るはずもない。」
「おっしゃっていることはあまりよくわかりかねますが、このところ不作で農民はくず野菜で命をつないでいるのは確かです。」
うんうん。
「手洗いうがいはそもそも概念としてなさそうなんだよな。もちろん手が汚れたら洗ったりするけど、ご飯前とか帰ってきてとかそういう感覚ではないらしい。そんなんだから、お風呂に入る発想もない。貴族でも、時々かゆくなったら水浴びをする位。貴族でこれだから、それ以下の層はもっと恐ろしいと思う。とりあえず、石鹸が出来るまでは水かお湯でいいから洗わせよう。石鹸って、灰とかで確か作れたけどどうだったかな。」
最後の方は独り言になったけれど、石鹸というのが出来るのが楽しみですね、とその人は行ってくれた。多分、想像もついてないんだろうなぁ。
確か大豆とサツマイモみたいな芋は不作でもちゃんと採れてるって話だったから、そのあたりがカギだろうな。
王様にまた呼ばれたので報告。
「昨日の書類のご報告ですが、疫病の感染は清潔な状態を保つことでおおよそ無くすことが出来るのが分かりました。また、身体が丈夫であればその疫病にかかりにくいであろうという仮説も立ちました。つきましては早急に衛生的な環境や意識の普及啓発と食糧事情の改善をご提案します。」
「ほう。そこまで分かったか。して、衛生的な環境や意識の普及啓発とは何を行うつもりじゃ?」
「まずは住居の掃除、着用する衣服の洗濯、身体を清潔に保つための水浴びや手洗いの方法の普及をお手伝いいただきたく思います。」
いや、俺が今までの生活でしていたレベルに持っていきたいだけなんだけどな。
「まず何から行えばいい。」
「まず庶民のためには共同で水浴び出来る浴場を、貴族の方向けに個別の浴室の普及をお願いします。さっぱりと気持ちが良く、疫病も予防できますので。お渡しした資料に簡単な図を載せてあります。」
美術はいつも2だけど今だけは伝わってくれ……。
「ほう。早速作らせるとしよう。この石鹸とやらはもうできているのか?」
「いえ、まだ材料がそろっていませんので、もう少しお時間を頂きたく。」
「まあいいだろう。よくやった。」
いやー、まだ転生して四日目だぜ?
それで自分の状況把握して、ここまで色々考えて案とか出して王様に色々出来るのスゲーと思う。やー、明日は石鹸作るか。油届くかなー。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます