第2話 転生3日目、スタートからすでにハードモードな件

ポンコツな奴のせいで異世界転生した僕が3日ほど過ごして分かったことがいくつかある。

まず、飯がくそまずい。栄養とか、味とかは全部ほっぽり出して、とりあえず腹が膨れればいい飯のレベルだった。マックが、ポテチが、コーラが恋しい。帰りたい。切実に帰りたい。

二つ目に、めちゃくちゃ汚い。トイレはくみ取り式ならまだましで、大体の人は野糞。召喚で呼ばれたから特別待遇されててよかった。くみ取った後?そんなに怖くて聞けるか。江戸時代みたいになってるんじゃねえの。覚えてないけど。そんな状態だから、水を飲むのもめちゃくちゃ怖い。召喚された時のジョブが薬師だったから水の浄化魔法が使えて助かった。そうじゃなかったら多分もうトイレからずっと出てない。どうなってるんだ衛生観念。

三つ目、これが大問題だった。この国はおよそ3か月後に疫病が流行る。神様の神託とかいうので分かったらしい。それで急いで召喚で薬師を呼んで、あのポンコツの手違いで僕がここにいるってわけだ。

本当ならブラック企業の薬剤師辺りが来てたんだろ?

いやここもそこそこなブラックだぞ。


「失礼いたします。持ってまいりました。」

さっき起きたときに王様に謁見すると言われてさすがに三日風呂に入らないで行くのはまずいだろと思って薪とタオル、大きい桶を用意させた。風呂が分からないと言われて説明したら、そんなに大きい桶は馬のえさを入れておくのしかないと言われたので、とりあえず新品のものを用意してもらった。

あー、やっぱりちゃんと湯船につかりたい。王様についでに言ったらもらえねぇかな、湯船。そもそもこの世界に風呂の概念あるのか、怪しいけど。


「ただいま参上しました。」

「おお、そんなに畏まるな。表をあげよ。リョウ。」

王様から呼ばれたのは、神託を受けた神官が神がかりの時に書いたメモが読めるか、ということだった。


【☆開発中ウイルスの実験予定およびウイルスの性質についての報告☆】


おいふざけんなよ。なんか薬師になれって言われたからもう手が付けられなくて呼ばれたのかと思ったら神様が実験するためなのかよ。しかもなんだこの星は。ぜってーいらねえだろ。

「神託を受けた際に、疫病がこの後流行るだろうということは分かったのだが、それ以外の情報は全くと言っていいほどになにも分からず仕舞いでな。この書類も書いた神官でさえ全く読むことが出来ん。書いたときの記憶もないので何ともできずにおってな。」

なるほど。まあ、がっつり日本語で書かれてるしな。

僕が今普通に喋れてたりするのは転生特有のご都合主義だろうから全然気にしてなかったけど、そうか、こっちの人には日本語は未知の言語だもんな。

「拝見しましたところ、疫病に対する策を講じるための手掛かりになる情報が書かれているようです。ただ、僕が今ここで読み上げてもすぐになにか出来るわけではありませんので、お時間を頂けませんか。」

「どれだけかかる。」

んー、時間は無限に欲しいな?

「まずここから疫病の持つ性質を把握すること。そして対策として有効と思われる手段のリストアップ。さらにそれを行うための環境の確認。合わせて二日ほど頂ければと。」

「それではちと遅いな。性質の把握と手段のリストアップだけでよい。明日までに終わらせよ。」

マジかよ。僕全然知識ないから時間かけて頑張ったけど成果は得られませんでしたって感じでごまかそうと思ったけどそんなに時間もらえねえのかよ。

「かしこまりました。ご期待に沿えるかは分かりませんが、出来る限りのことを。」

「よい。必要なものはあるか。」

「出来る限りの紙とペン。薬に詳しい方のご協力を頂ければと。」

「後で部屋に向かわせる。明日、たのしみにしているぞ。」


マジかよ。さっきからマジかよしか言葉がでてこねえ。

とりあえず、このバカげた実験予定の計画書を読んでみるか。

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