冴えない僕がある日異世界転生したら、薬師として疫病が流行るのを阻止して英雄になれと神様に無茶ぶりされた件‼
ユメハ
第1話 転生したのはさえない僕だった。
今日は定期テスト二日目。一日目のなぜか毎回湧き出る無敵感も、三日目のもうすぐ解放されるという高揚感もない、一番やる気が起きなくて、でも毎回一番苦手な数学がある日だ。
「どうせ今回も平均低いだろうしなあ。」
数学の授業は本当に分かりにくい説明が定評の荻野。成績がいい奴らは勉強アプリの動画で内容理解してるらしいが、僕はそんなことにスマホの容量を使う気もない。
数少ない友達と音ゲーで遊んだりするためのスマホにそんなアイコンはいらない。
ところどころ分かったところを組み合わせてなんとなく平均が取れれば特に問題ないし。
ああ、でもまた荻野は平均点が低いのをどうのとか返却の時に演説するんだろうな。
あんな演説するんなら説明うまくなりゃいいのに。
「おい、お前ら席につけ。」
ざわついた教室が一気に静かになって、微かな緊張と共に紙がまわされていく。
テストの時の名前って、なぜか綺麗に書けるんだよな。
カリカリと紙を掻くシャーペンの音だけが教室に充満する。
お、やべラッキーじゃん昨日やった問題まんまじゃん。
教科書そのまんまとか今回結構手抜き回じゃね?
そう思ったのに、僕は問題を解きながら気が付けば深く寝入っていた。
誰かが僕の肩をゆすっている気がする。
やべ、今テストだよな。何分寝てた。まだいけるか……。
そっと頭をもたげるとそこには色素のなさそうな、透明感抜群な少年もしくは少女がいた。
「ぱんぱかぱーん!というわけで、あなたはぶらっくな薬局から抜け出して、異世界で薬師になってもらうことになりました‼おめでとうございます!!」
「は?」
え、テストは?マジで?ラノベでよくある真っ白な空間って実在するの?
「だからー、あなた田中涼さんは、異世界転生の人材に選ばれました!!ちょうどぶらっくでやめたいっておっしゃってましたしー、丁度よかったです!」
なんだそのどや顔。妙に癪に触るな……。
「いや、ぜってー人違いだろ。俺テスト中なんだけど。早く返して。」
「いえいえ、だってあなた、田中涼さんですよね?」
「お前、全国に田中が何人いると思ってんだ。それに僕はまだ学生。ブラック企業への就職した覚えも無し。薬局でバイトもしてない。早く返せ。テストまだ解けてねえんだぞ。」
「いや、や、そんなはずは……えっそんなまさか、本当に違うんですか。」
「別人。」
「あ、あの。ええ、うそどうしよう。えっと……大変申し訳ありませんが、あなたをお戻しすることは私の力ではできません。もうすぐあなたのいう異世界にあなたがしょうかんされてしまうからです。その……すみません。出来る限りのおたすけになるような情報は詰め込んでおくのでがんばってください!それでは!!」
いきなり差し込んできた強い光が視界を奪っていく。
「はあ?えっうっそだろお前期末終わったらやっと限定復刻のアバターが解k」
ふつーの学生だったはずの僕は、こうして何やらぽんこつな奴のとばっちりで説明もなく異世界転生することになった。
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