かみさまさよなら

 底が抜ける感覚を知っているだろうか

 空から落ちる感覚を

 僕にはどちらもわからない

 どちらの違いもわからない


 たくさんの色があることを知ったのは

 生まれてすぐでは 僕はなかった

 空も海も虹も人も すべてはただの濃淡で

 別にそれでも困らなかったけれど


 もうすぐ死ぬとわかっていて

 今死のうとすることに

 理由をつけないと駄目だというのか

 この体が血を吐いたって

 心が押し潰されたって

 君たちには関係ないだろう

 他人のものさしで決められる不幸に

 露ほども興味はないよ


 来世は塵になりたいな

 人間は無駄に考えすぎる

 どこにでも行けて どこにでも行けない

 さよならかみさま

 結構楽しかったよ


 灰色の空が遠くなる

 風圧で羽が生えたみたいだ

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