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「この遠くから聞こえてくる音楽はなんの音楽ですか?」と部屋に案内されている間に僕は言った。
「お祭りの音楽です。この街のお祭りの音楽ですよ」とやっぱり素晴らしい笑顔で笑って、執事のようなホテルの従業員の男の人は僕に言った。
案内された部屋はとても素敵な部屋だった。
提示された金額で泊まれるホテルとは、とても思えないような豪華な内装の部屋だった。
赤い絨毯に、赤いカーテン。上質な木の香りのする家具。
大きな天蓋のついた真っ白なふかふかのベット。
陶器のような材質で作られたシャワールーム。綺麗で、大きな鏡のある、とても清潔なトイレ。
快適な温度が保たれている室温。大きな窓。そして、緑色の観葉植物の鉢植え。
小型の冷蔵庫。レトロで、おしゃれな造形をしたおもちゃみたいな電話。
どこか異国の高級ホテルの一室のような内装の部屋がそこにはあった。
「本当にこの部屋に泊まってもいいんですか?」と僕は言った。
「もちろん。この部屋はお客様のための部屋ですから」と執事のようなホテルの従業員の男の人は言った。
それから執事のようなホテルの従業員の男の人は僕に、「良い、夜を」と言ってから、頭を下げて、音もなく部屋を出て行った。
僕はずっと背負っていた大きな灰色のリックサックを赤い絨毯の上におくと、とりあえず、赤いカーテンと大きな窓を開けて、遠くから聞こえてくるお祭りの音楽に耳をかたむけてみた。
しかし、その不思議な音楽は、いつの間にか世界から消えていた。
お祭りが終わってしまったのか、もうどこからも、あの不思議な音楽が聞こえてこなかった。
僕はそのことをひどく残念に思った。
それから僕は、服を脱いで裸になると、シャワールームで熱いシャワーを全身に浴びた。
シャワーはとても気持ちよかった。
僕は白いバスタオルで体を拭いてから、ホテルの部屋の中に置いてあったシルクのような手触りの無地のパジャマのような服に着替えをして、シャワールームを出て、部屋の中に戻った。
「やあ、こんばんは」
すると、そこには先ほど、僕をこのホテルまで案内してくれたポニーテールの少女がいた。
少女は先ほどとは違って、とても豪華なパーティードレスにその身を包んでいた。
桃色の、ところどころに花の刺繍のしてある足のラインに長いスリットの入ったパーティードレスを着たポニーテールの少女は、大きな天蓋なる真っ白なベットのところに、腰を下ろして座っていた。
そこからポニーテールの少女は、にこやかに笑なから、じっと僕のことを見ていた。
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