二人目の被害者④

封筒を恐る恐る開けると、中にはURLとQRコードだけが書かれた紙が1枚だけ入っていた。

私は、最悪の想像をしながら事実を確認するために、QRコードを読み取った。

飛んだサイトには、私のフルヌード姿をアイコンにされ、本名や年齢、勤務先名、住所が記載されていた。

そして、そのページの右下にカウンターが付いており、既に1万ちかくの数字が積まれていた。


「え?私の個人情報がネットに載っているってこと?しかも1万以上のアクセスがあるってこと?」

私は30万円を奪われた上に、自分のプライバシーが侵害されている事実に耐えきれなくなり大声で泣いた。


その時、スマホが鳴った。

私は涙を拭って、平静を装って電話に出た。

「もしもし?」

「突然のご連絡、失礼します。私たちからのプレゼントはいかがでしたか?」

「プレゼントって?もしかして、あなたが写真やネットに私の情報を載せた犯人?」

「そうですね。今も号泣されていたのに、気丈に振舞われたり、ロッカーに張り付いて犯人を捕まえようとするなど、あなたは中々強い人なんですね。」

「お金は払ったのに、なんで私の個人情報がネットにさらされているのよ。話が違うじゃない。」

「話が違う?はて、何のことでしょう?」

「お金を払えば、私の写真をばら撒かない約束でしょう?」

「何か勘違いをされているようなので、もう一度私たちからお送りした手紙を見直してください。」


私は、言われるがままに手紙を見直した。そして、犯人が言おうとしている意味が分かった。

数十秒間の無言で私が全てを悟ったことを理解したのか、犯人が笑いながら、


「お分かり頂けましたか?私たちは、お金を頂く代わりに辞めると約束したことは、あくまで会社にばら撒かないということであり、ネットに載せないとは一言も言っていませんよね。」


あまりの屁理屈に私は、悔しさもなくなり、ただただ呆然としてしまった。

「あと、あなたの命を守るためにお伝えしますが、あなたが今住んでいる家の合鍵が欲しい方がいたので、送っておきました。もしかしたら、あなたの家に変態が侵入する可能性もありますので、お気をつけください。では。」


私はもう何も考えることができなくなり、家でずっと泣き続けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る