一人目の被害者⑥
「なんだよ、この写真。いつ撮ったんだよ、こんな写真」
彼氏の顔が紅潮し、口調が荒くなるのが分かった。
「あなたが撮った写真じゃないの?」
彼氏が撮ったと思っていた私は、彼氏の反応が想像と全く違うことに驚きを隠せなかった。
「こんな写真、俺が撮る訳ないだろ。ってか、お前が撮った写真でも無いのか?じゃあ、何なんだよ一体。」
彼氏は突然の出来事に頭が付いていかず混乱しているようだった。
「今から何があったのかを話すから黙って聞いててね。」
「分かった。」
私は、この写真を見つけた昨日から今までに起こったことを全て包み隠さず話した。彼氏は途中、何度か口を開こうとしたが、ぐっと堪えて私の話を最後まで聞いてくれた。
「まずは警察に行こう。それで被害届を出して、家の中に盗聴器や盗撮機の類が無いかも急いで調べよう。あとは引っ越しもしないとだな。とりあえず、今日は遅いしこの家にいるのも気持ち悪いだろうから、実家に帰った方が良いな。警察には明日行こう。俺も付いていくから。」
「実家じゃなくて、あなたの家に泊まったらダメかな?」
「今からだと終電で帰る事になるから、遅くなっちゃうけど大丈夫か?」
「当分は会社にも行けないし、一人でいても不安だし。何より、あなたと一緒にいたいの。ダメ?」
「ダメじゃないよ。俺も明日は、朝だけ会社に行ったら早退するから、午後一で警察に行こう。じゃあ、とりあえず証拠となる写真と手紙、封筒だけ忘れないようにして、早くこの部屋から出よう。」
私は急いで荷物をまとめ始めた。
その間、彼氏は写真を見ながらカメラが仕込まれているだろう角度を探しては、カメラが設置されていないかを確認していた。
「お待たせ。」
私は彼氏に声を掛け、二人で部屋を後にした。
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