一人目の被害者⑦
翌日、警察に被害届を出したあと、部屋に盗聴器やカメラが設置されていないかを業者を呼んで確認してみたが、それらしいモノは何一つ出てこなかった。
業者の推測によると、もしかしたら昨日、私が彼氏の部屋に泊まっている間に発見を恐れた犯人が夜中のうちに部屋に侵入して撤去したのではないかという事だった。
「昨日、部屋を空っぽにしたのは失敗だったのかもしれないな。」
彼氏は自分の判断が誤っていたかもしれない事をとても悔やんでいた。
「まぁ、どちらにせよ、この部屋は早く引き払って引っ越しをした方が良いと思いますよ。それと、引っ越した後に生活に必要なモノを一式揃えた時点で、私のような業者を呼んで部屋に何も仕掛けられていない事を確認する事をオススメします。もし、私どもが伺える範囲に引っ越しをされるようでしたら、次回の調査は少しお安くすることもできますので。」
業者はそう言い残すと、部屋を出て行った。
「業者さんも言ってたけど、この部屋は早く引き払った方が良いだろうな。」
「でも、私せっかく会社も多分、もう行けないから新しい部屋を借りる余裕とか無いし。」
「もし実家に戻るのが嫌なら、俺の部屋で一緒に暮らさないか?」
「え?同棲ってこと?良いの?」
「実は少し前から考えてたんだよ。一緒に暮らしたいと思ってはいたんだけど、言い出しづらくて。」
「私も一緒に暮らしたいと思ってた。嬉しい。」
ちなみに、私たちの恥ずかしい写真を撮影し、会社に写真をばら撒いた犯人が捕まったという連絡は警察から来ることは無かった。
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