一人目の被害者③

差出人不明の封筒。

一人暮らしの女性にとっては、それだけでも恐怖だが、恐る恐る封筒の封を切った。

中には、数枚の写真と手紙が一枚と見知らぬ鍵が入っていた。

数枚の写真に写っていたもの。それは、私のお風呂上がりでアイスを食べている姿であったり、恋人と愛し合っている姿を隠し撮りしているものだった。

そして、手紙には

『この写真を会社にばら撒かれたくなかったら、明日までに50万円を指定されたロッカーへ持ってこい。』

と書いてあり、ロッカーの地図と番号が記載されていた。

「え、なにこれ?」

私は突然、突きつけられた現実が理解できずに何十秒か立ち尽くしていた。

何十秒か経って少し冷静さを取り戻してきた私は改めて写真を見直した。

「この写真が撮れるのは、隠しカメラでしかないよね。問題は誰が設置したのかってことだけど、この部屋に入ったことがあるのは両親と私と後は彼氏だけ。ということは。」


私は一番想像したくない最悪の状況が頭をよぎった。しかし、ここで確認しないとずっと恐怖に支配され続けるかもしれない。それだけは絶対に避けたい現実だった。

私は勇気を振り絞って彼氏に電話した。

「繋がらないな。いつもはすぐに電話に出てくれるのに。ということは、やっぱり彼氏が犯人なの?」

不安と恐怖と最愛の人に裏切られたかもしれないという悲しさが私の目から大粒の涙として、こぼれ落ちた。

『このメッセージを見たら、何時でもいいからすぐに連絡ください。どうしても、あなたに聞きたいことがあるの。』

涙を必死にぬぐいながら私は彼氏にメッセージを送った。



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