一人目の被害者②
アプリでテレビを注文してから数日後、テレビが届いたので早速、設置した。
「やっぱり、部屋のインテリア的にもテレビがあった方が良いな。」
私は初めてのフリマアプリでの買い物だったことと、良質なテレビが非常に安い値段で出品されていたことで、もしかしたら商品が届かず詐欺にあってしまったかもしれないという一抹の不安を感じていたが、無事にテレビが届いたことでホッと胸をなでおろした。
その後も食器や日用品、食材など生活するために必要なものを買ったり、入社までに宿題として出されていた課題の対応だったりとバタバタした生活を送っているうちに、あっという間に3月31日を迎えていた。
「さぁ、明日から私も社会人だ。拾ってもらったこの会社で頑張ろう。そして、素敵な彼氏も作って充実した社会人生活を送ろう。」
いざ、入社してみると小さな広告代理店だけあってか、想像を超える過酷さで毎日ヘトヘトな生活を送っていた。
ただ、毎日終電帰りというブラック企業ではなく、生産性を最重要視した感じの会社で、決められた時間にしっかりと仕事を終えて、遅くても20時くらいには帰宅するといった生活だった。
おかげで、家に帰ったあとはゆっくりとシャワーやお風呂に入ってリラックスする事も出来たし、広告代理店に入った私にとって必要な勉強であるテレビCMを見る時間も作れた。
最初の頃こそきつかったが、毎日ある程度の自由な時間があるおかげで、私は徐々にこの激務にも慣れてきた。
最近はもっぱら、家に帰ってきたあとはまずお風呂に入り、1日の疲れを取る。
お風呂上がりに買ってきたお弁当を食べながらテレビを見る。
そして、初めて出来た彼氏とLINEのやりとりをしたり、少し長電話をしたりする。
休日は、彼氏を家に呼び、一緒にテレビや映画を観たり、ご飯を作って食べたり、愛し合ったりとそれなりに充実した日々を送れるようになっていた。
「やっぱり一人暮らしして正解だったな。大好きな彼氏も出来て、仕事もそれなりにキツいけどやりがいもある。あとは25歳くらいまでに結婚出来たら最高だな。」
と今の生活に幸せを感じていた。
しかし、そんな幸せな生活を壊す1通の封筒が郵便ポストに入っていた。
差出人不明の郵便のせいで、私の人生は壊された。
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