一人目の被害者①
色々と聞きたい事があるみたいだが、一体なにから話せば良いのかな?
とりあえず、俺たちが最初に犯した犯罪から話してみることにするよ。
「あ、その冷蔵庫はここに置いてください。タンスはあそこで、ベッドはあっちに置いてください。」
「分かりましたー。」
引っ越し業者のお兄さんたちは慣れた手つきで荷物をどんどんと運び入れてくれる。
「青森さん、以上で荷物の搬入は以上になります。」
「ありがとうございました。」
「では、私たちはこれで失礼します。」
引っ越し業者は玄関先でお辞儀をすると、足早に立ち去って行った。
この時期、1日で数件の引っ越しをすると言っていたから多忙なんだろう。
私の名前は、青森クミ。
売り手市場だから余裕で終わると思っていた就活に想像以上に苦戦した末、やっと小さな広告代理店から内定をもらい、来月から新社会人として働くことになった22歳の女性だ。
実家からも通勤しようと思えば通勤できるのだが、社会人になってからは実家から早く出たかった。
なぜなら、両親は非常に厳しく大学生だった頃も門限があり、周囲の友達が夜通し遊んでいた時も私一人だけ終電では必ず帰宅するような生活であり窮屈さを感じていたから。
そのせいかどうかは分からないけれど、22歳になった今も恋人ができた事もなかった。
だからこそ、社会人の生活は自由にしたいと強く願っていた。
その思いの強さと社会人になったことで、両親も渋々、実家から数駅圏内の距離であり何かあればすぐにでも駆けつけられる距離であれば一人暮らしをしても良いと許しをもらい念願の自由な生活をこうして手に入れたという訳だ。
「あとはテレビを設置するだけか。でも、テレビはあんまり見ないから安く揃えたいな。」
そう独り言を言いながら私はフリマアプリやオークションアプリを眺めていた。
「結構、出品されてるんだなー。」
アプリ上には数多くの品物が並んでいた。その中でもかなり安い掘り出しモノのテレビを見つけた。
「このテレビ、ほぼ新品なのにめちゃくちゃ安い。サイズもちょうど良いし、このテレビにしよう。」
私は売り切れる前に、このテレビを購入した。
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