第44話

 朝。

 見知った宿の天井のシミが目に付く。

 それと共に、右腕と左腕に感じる暖かくも柔らかい感触。

 感触……。

 

 ああ……。昨日の夜、戻ってきたらシャルロットに見つかって二回戦目をぼっぱじめたんだっけ……。

 ミレアスフィールもやり残したことがあると言って消えちまうし……。

 

「………」


 いや、待て。片方の感触は分かる。

 ならもう片方は?

 

 俺は恐る恐る右肩の方へ顔を向ける。

 

「すー。すー。」


 そこには幸せそうに俺の腕に抱き着ついている全裸のシャルロット。

 じゃあ左は?

 今度は左へ向ける、と。

 

「ミレアスフィール!?」

「しーっ、もう少しこのままで居ましょ。おにいさん」


 驚くことにそこにはミレアスフィールが、にやりと抱きついていた。裸で。

 

「アンタ何やってんだよ!!」

「なにって。酷い…昨日の夜はあんなに激しく求めてくれたのに!?」

「へんな言い方すんな!!」


 ていうかなんだそのおにいさんって、なんだそのあざとい感じ、何キャラだお前!!

 いや、待て……ミレアスフィールは契約者の内面を反射して映す。ということは……。

 俺の中身はこんななのかぁ……。

 

「ウフフ……」


 というより、昨日別れたミレアスフィールがなんでここに、しかも布団の中で裸で抱きしめ合ってるんだ!!

 

「アンタ、どうしてここに?」

「どうって?あんなに求めてくれたじゃない!?」

「いや、そーいうのはいいから……」

「ふーん」


 詰まらなそうな顔をするミレアスフィール。

 

「アタシの領域を封鎖して夜戻って来たんだけど、おにいさんそっちの子と随分仲良かよさそうにしてたんだもん。なんか嫉妬しちゃって、ミレアの契約者ならぁ、ミレアだけを見て欲しいの。だから、こうやって。ちゅっ」

「おい…‥」


 強く俺の腕を抱きしめ、あろうことか頬にキスをしてくる。

 

「いくら何でも気が変わり過ぎだろ?」

「おにいさんもミレアの性質は知ってるでしょ?ミレアが素直になるかどうかはおにいさん次第」


 そう言って抱き着き、頭を俺の方へと乗せる。

 そんな光景を眺めていた影が一つ。

 

「ずるい……」


 ズーンとなにか嫌いなものを見るようにして、気づけはベッドの横でサラが立っていた。

 

「サラ?」

「ずるい」

「ああ、これは。つかずるい?」

「ずるい」

「おまっ、ぐへっ!?」


 そう言って徐に脱ぎだすと、俺胸へダイブし馬乗りをしてくる。

 お、おもい……。

 というか、これは色々アウト過ぎる。

 左右二人はともかく。サラは年齢的な意味で。

 

「ツルギはワタシの」


 そう言って抱き着くサラ。全身の柔らかさが伝わるり。

 ああ……。

 なんだこれ。


 シャルロットが目を覚ます。


「おはよう……ご…。サラさん?それとダレ……。ちょっとツルギッ、ご主人様!!これはどういうことですか!!」


 目を覚ましたシャルロットが、光景を見て強情にも腕に抱き着き俺を引く。

 ご主人様って呼び方はってっていするんだ……。

 

 こうなれば、もう埒が明かない。

 

「ご主人様、やっぱりサラさんとはそいう関係でしたんですね!?」

「ずるい」

「いやんおにいさん。そんなとこさっちゃ……」

「それはお前が勝手に手を動かしてんだろ!!」

「あーそれはいけません!!ご主人様からの慈悲を頂けるなんて!!」

「ん~。なんか固いの当たってる」

「ちょっとサラそれは色々マズいって。……あっ」

「ちょっとサラさん!?あなたには早いです!!」

「ひゃっ、……あっ、ツルギ……」

「おにいさん、いっぱい好き、んっ。くちゅっ、んん……」


 その後、どうなったかは言うまでもない……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る