第36話

 とはいえ、潜入したところで地図もないので、居る場所も分からないのだが……。

 潜入した俺はそう困りながら、ランプの光が並び照らされる城の廊下を歩いていた。

 

 もちろん、その間にも何度か兵士や貴族と思われる格好の人間とすれ違ったが、誰一人として俺の存在にはミストルテインの効果が効いて気づいていない様子だった。

 ただ、想像以上に城は広いため闇雲に探し回るのは良くないと判断し、抵当な部屋に入り今は身を隠して考えているいる。

 そうして考えだした答えが、

 

「ソードクリエイト――三種の神器・玉」


 形成するは三種の神器と呼ばれる太古の宝物。それらは剣、鏡、玉の三つに分かれており三つをひとまとめにして一つと扱う。元は占いの道具で、それぞれ、剣は戦の占い、鏡は心の占い、玉は位置の占いと種別に占い道具として使用されていた物だ。

 その中で、位置の占いに適した玉を俺は形成した。

 もちろん、剣ではない。だが、三種の神器とは三つで一まとめである為、剣がある以上その部位的なものとして呼び出すことができる。

 ゆえに形成した玉、翡翠の勾玉へ魔力を込めシャルロットの居場所がどこかと命じると玉は剣を自動的に呼び出した。

 現れた短剣もまた宙に浮遊し玉はその剣の鍔にあるくぼみへとハマる。

 玉がシャルロットの位置を占い、剣がソレを指し示すようだ。

 

 自動で意志でもあるかのように浮遊する剣は部屋を出ると、長い廊下を真っすぐと進み始め、俺もまたその後をついて行く。

 

 


 そうして、進むこと数分そこで、

 

「っ――ジン?」


 廊下の向こう側からジンが歩いてきた。

 無論、こちらにはおそらく気づいていない。真っすぐ俺はバレぬようにその横を素通りする。

 

 大丈夫だ、バレていないハズだ……。

 

 そうして通り過ぎた時だった。

 

「誰かいるのかい?」

「っ!?」


 振り向いたジンがそう声を出した。

 

 バレた?

 いや、だが……。

 

 その目はキョロキョロをしている。どうやら気配は感じ取っているようだが姿までは見えていないようだった。

 それなら、素早くここを立ち去れば。

 

 俺はスタスタと早足で逃げるようにしてその場を後にし、廊下の角を曲がり一呼吸置く。

 

「……ドッキドキだな、おい」


 別にトキメいたとかじゃないが、正直俺は潜入に向いていない。

 できるのであれば正面突破でもしてやりたいが、できない以上仕方ない。

 

 ああ、くそっ。

 やりきれない気分だが、それを取っ払いやっと見つけた地下への階段を覗き、導の剣も先導して入って行く。

 壁や床と同じ石でできた階段、人二人ぐらいが並んで降りれるほどの広さで、横にローソクが着いて燃えているので真っ暗と言うわけではないが薄暗い。

 ただ――、

 どうやら予想は的中、シャルロットが居るのは本当に地下で地下で間違いないようだ。

 覚悟を決めて、俺も石でできた階段を下っていく。

 

 

 

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