第33話

「はぁ……」

「もう、むり……」


 闘技場もとい訓練場での、なぞの洗礼から解放されたのは日が傾き始めた頃だった。

 正直、二人とももうクタクタで一歩も動けずギルドの集会スペースの席に座って、二人そろって机に突っ伏して登録の最後の事務処理を待たされていた。

 

 それにしても、何人と戦っただろうか。途中から数を数えるのが面倒になったから分からないが100人は居たんじゃないだろうか。

 まあ、その大半がブロンズだった訳だから対して苦戦は強いられていなのだが……。

 数の暴力とは恐ろしい……。

 

 途中から奴ら全力で走って突っ込んでくるだけになってたぞ。

 ラグビー選手かって……。

 

「よう。兄ちゃんたち!!頑張ったなっ!!」


 突っ伏す俺たちの席の横に、ガンツが事務処理を終えたのか、よってきて声をかけてきた。

 

「頑張ったじゃねぇよ。殺す気かっ?」

「いやいや、ハハハッ!!あまりに強かったもんで盛り上がっちまってなっ!!それにほら」

「ん?」


 ガンツから差し出されたソレを俺たち二人は顔を上げ見る。

 シルバーの二つの首飾り、証明書だ。それを見た俺たちにガンツはニカッと笑みを向ける。

 

「ぎん?」

「おうよっ、テストの結果ってやつだ。本来ならブロンズのところを兄ちゃんたちは特別にシルバーから。まあ――正直、実力はゴールドを渡してもおかしくないが、何しろ信用ってのもある。仕事をこなしてある程度顔なじみになったら兄ちゃんたちは直ぐにゴールドの上げるつもりだ」

「そうか……」


 受け取り、着けていたブロンズの証明書を返却し、差し出されたシルバーの証明書をサラと俺はガンツから受け取って首にかける。

「なんというか、マシになったな」


 証明書を着けたサラを見て俺はそんなことを思う。流石に豪勢な服に銅はなかったが、銀ならまだ割とファッション的にマシになったという感じだ。

 

「ん~。ツルギも」

「ハハハッ、二人ともに似合ってるぞ!!」


 アンタが言うとそう思えなくなくなるんだよなぁ……。

 まあ、ガンツの世紀末センスはさて置き、

 

「これで、終わりか?」

「おうよ!!おめでとう、これで兄ちゃんと嬢ちゃんはウチのギルドの人間だ!!よろしく頼むぜ!!よおし!!おめぇら今日は期待の新人が入って来たパーティーだ!!」


『うおおおおおおおおおお』


 ガンツがギルド全体に響き渡るように声を上げると、その場にいた全員が歓喜し持っていた酒瓶やら武器やらを上げ歓声を上げた。

 またどんちゃん騒ぎかよ……。

 

 そうして、騒がしい歓迎会が始まった。

 

 

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