第32話
と。
サラの体は宙に舞っていた。
1跳躍で自分の身長の数個分は飛んで反転し、アクロバティックに片手でライフルを照準を定め、
タンッタンッタンッ!!
弾丸は放たれるが全て、防御の方陣に防がれていた。
そして、着地したサラの着地点に炎が飛び、ソレをステップで交わすと今度は見えない風の刃が地面を削りながら飛んで、ソレをサラは避けていた。
「サラ!!」
「いい……」
いいって……。
「ツルギは一人でやった、だからワタシも一人でやる」
そう言いながら、魔法使いの攻撃を軽業師の如く避けるサラ。
「はぁ……。ほどほどにな」
こういう時、サラは言っても譲らない。
まあ、俺が一人でしたから自分もというのも分からなくもないが……。
それに、サラならもう終わらせるつもりだろう。
俺はため息をしつつ頭をかいて、分かったとサラに返した。
そうして――。
魔法使いの頭上で宙に舞ったサラが、マガジンを投げ捨て新たな弾倉を出してリロードすると、照準を合わせ、真っすぐサラと魔法使いが一直線に重なった瞬間。
パンッ!!
パリンッ!?
防御陣のシールドが砕け散った。
だが、ソレは弾がシールドに着弾したからではない。
シールドを破壊したのは、ただの発砲時の弾が空を撃つ衝撃にすぎず、弾は後から魔法使いに襲い掛かる。
そうして――
一瞬遅れて、魔法使いの証明書は宙を舞った。
「破裂弾……」
着地したサラが一言そう呟く。
「なかすすけるし、バレル歪むから使いたくなかった……ぐずん」
「大丈夫か?」
「大丈夫」
サラに走り寄り、なんだか落ち込んでいたので頭を撫でて置く。
「オイオイまさか全員倒しちまうなんてな!!おどいたぞ」
ガンツが全滅したことを見かねて、俺たちのところまできた。
正直、驚いたのはこっちだと突っ込んでやりたい。
説明もなしにいきなり戦わせるバカがあるか。
「よぉし!!テメェらこれでおわりか!?そんな訳なぇよなぁ!!救世主様がオレ達の仲間になるんだ!!この程度の挨拶ですましていいか!?」
と、突然この場に居る全員に声を上げるガンツ。
おい……まさか、まだやるってんじゃないだろうな……。
『ウオオオオオオオオオオ!!』
「次は俺だ!」
「いいやオレだね!!」
「私もやるわ!!」
「マジかよ」
「じゃ、そんな訳だから。よろしく頼むぜぇ」
「よろしくねぇえええええええええ!!」
それから数時間、俺とサラは見事その場にいた冒険者全員を完膚なきまでに殲滅した。
ただ、居たのはギルドメンバー全員ではないらしい。
なにより、俺以外の救世主様はどっかダンジョンに出払っているようだ。
まあ、彼らが居なかったのが幸いだったのかどうかはさておき、俺たちが手加減をして無駄に疲れ立てたのは言うまでもない。
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