第9話
「ケイン。部隊の先遣隊の準備を」
「はっ!!」
いつの間にか最後尾から来ていたケインに、シャルロットが指示を出し、早々と部隊の列は整列し直して後方部隊のリーダー各だろう人物とシャルロットとケインが、なにやら話をし始めた。
部外者の俺はそれを横目で見つつ、ダンジョンの入口を観察する。
入口は神殿のような石の人口で人間3人は横に広がって入れる大きさ。それがまっすぐ下向きの階段が闇へと続いている。
光はなく奥までは見えない。
試しに石ころを拾い、暗闇の中へ放り投げて見る。
シュッ――カラカラカラ……。
ボッ!!
ん?
火がともった。暗闇の階段。
石を投げ通ったところまで、壁に掛けられていた松明に蒼い日が灯り、階段を照らした。
「どうやら、火の必要は内容ですね」
「ああ、みたいだ……」
入口を除く俺の横に、部隊の編成を終えたシャルロットが来て同じように入口を覗いてた。
「では、早速ですが行きたいと思います。準備はよろしいですか?」
真剣な表情でされる確認に俺は頷いた。
◇
ダンジョンを進む。
先頭に俺シャルロット、最後尾にケインという編成で10人ほどの兵士と共に階段を降り、しばらくすると広い場所へと出た。
「これは……」
明らかに人工的な、大きな石のレンガで作られた空間は広く、闇の中で道を示すように立派な石橋がかけられていた。
ここから向こう側まで、100mぐらいだろう。地下だというのに、蒼い炎が照らし、暗くない。
「全員警戒を、渡ります。ツルギさんも注意するように」
「分かった」
言われた通り、俺も辺りを経過しながら橋を渡る。
「ダンジョンって毎回こんな感じなのか?」
「ものに寄りますが、今回の場合は異様です。感じ取れる魔力の量の桁が違います」
「魔力を感じれるのか……?」
「ええ、多少ですが――!?待ってください!!」
途端、シャルロットに進むの止められ、俺含め全員が止まる。
「どうした?」
「来ます」
同時に響く地響き、そして――
ドゴーン!!
そいつらは姿を現した、
おわー!?
な、なんだ!?
声を上げる兵士。
俺たちにの前に現れたのは、
「挟まれましたね」
二体の牛のような二本足で立つ巨大な獅子の顔をした魔物だった。
前と後ろ、ちょうど橋の中央程まで来ていた俺たちを挟むようにして、頭上から現れ橋に大きな衝撃と共に着陸すと、二頭はすさまじい獰猛な雄たけびを上げた。
「うろたえないで下さい!!」
「シャルロット様!!どうするのですか!!」
「ケイン、一旦引き返します!!後方の闘牛の魔物は私が止めます、そのスキに部隊を引き連れて入口に戻ってください!!」
「目の前の奴はどうする!?」
「魔法で足止めします!!あなたも一緒に下がってください」
そう言うと、シャルロットは前に出て細剣を抜き天へまっすぐ掲げると。
「雷鳴よ轟け――ライトニングクラッシュ!!」
叫び上げると同時、細剣バチバチっと蒼い雷が細剣の周りに弾け、それが突き刺すように前方の闘牛の魔物に普通と雷が走った。
ジリジリと雷撃は走り、そうして――
グオオオオオオオオッ――!!
闘牛に伝わると、しびれさせ悲鳴を上げた。
効いているようだ。
「今です!後方を突破します!!走って」
言われ走り出す部隊に続く。
ただし、入口の闘牛魔物も魔物でこちらに突っ込んできてる。
どうするんだ――!?
素早く、前を走るケインへ合流するシャルロット。
「ケイン!!私に続きなさい!!」
「はい!!」
声をかけあう二人が更に速度を上げ先行し、闘牛懐へと入ってく。先行はシャルロット。
そうして、そのまま交差する瞬間、一閃。
シャルロットが闘牛の足へ引くように真っすぐ切り裂くと、闘牛の片足から血しぶきが舞い、その刹那バランスを崩した闘牛へ、大きく跳躍していたケインが闘牛の顔面に抜いた剣を叩きいれた。
剣はくの字に曲がった大きな角にぶつかりあるが、その勢いで闘牛は横に大きく倒れた。
大きな衝撃と共に闘牛が倒れると、入口への道は開ける。
それは、無駄のないみごとななコンビネーションだった。
これなら、突破できる!!
「今です、急いで!!」
既に闘牛を越したシャルロット叫び、その間にも兵士たちは闘牛の横を走り抜け最後尾の俺も、その闘牛を横目に抜けようとしていた。
頼むから間に合えよ……。
ゆっくりと立ち上がろうとする闘牛。
最後に俺が抜けた瞬間――
「ツルギさん!!後ろ!?」
もう立ち上がった!?
いや――!?
もう一頭の最初に痺れさせた方。
もう動けるようになったのか!?
もう一頭の方が、大きく跳躍して俺たちの止めんとして宙から殴りつけようとしていた。
このままじゃ、最後尾の兵士もろともやられる!!
「クソッ――!!」
どうしようもない!!
足を止め反射的に俺は振り返り、
「ソードクリエイト――巨人の剣(ヨートゥン)!!」
瞬時に形成したのは巨体な剣。あの巨体から守れる巨体な剣と、イメージしただけだが、現れた剣を俺は両手で握る。
人間一人が持つには明らかに大きすぎ巨人の剣だが、不思議と持ち上げることができる。
重くないと言えない重さを俺は両手で起きな柄を握り飛んできた闘牛へ振り入れた。
ドゴオオオオオオオオン!!
ぶつかりあう闘牛の拳とベーオルフ。衝撃波は弾け轟き、この空間をを震動させる。
響く振動は轟音を響きかせて、ジリジリと大きな揺れが巻き起こる。ゆえ――その振動に石の橋が耐えれれるはずもなく……。
やべえ、崩れる。
じりッと軋んだ音と股に足元にひびが入る。
「ゴオオオオオオオオオオオ!!」
同時に雄たけびを上げた拳をぶつける闘牛は、無理やり俺の足元へとその拳を殴りつけた。
クッソッ!!
「ツルギさん!!」
破壊され崩れ行く床、それと共に浮く体に落下を覚悟した。
その刹那――
!?
何者かが俺の手を掴んでいた。
それは、
「ケイン!?」
奈落の底へと崩れた橋にちゅぶりんと、ケインが橋の上から俺の腕を掴んでギリギリのところで耐えていた。
「あんた……」
「大丈夫ですか?」
「なんとか……」
助かった……安堵したのもつかの間……。
俺の手を掴むケインの顔が、酷く歪んだものとなる。
「なーんて、まさか本当に助けるとでも?さようなら救世主様」
こいつ――?
「シャルロットに近づく君が悪いんだ」
薄く不気味に笑ったその顔を見せつけると、ケインは容赦なく、"意図的"に俺の手を離したのだった。
俺の体は宙に舞う。
いや――舞うというより落下する。
奈落の底へ……。
「クソッ……」
ソードクリエイトも間に合わず無慈悲に。
最後に見たのはケインのゲスみを帯びた笑みだった……。
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