第8話

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「それにしても。ツルギさんはどうしてダンジョンへ?」


 ごつごつした岩山を、部隊の先頭でシャルロットと並び会話しながら進む。

 因みに部隊は30人ほどで、二列に隊列を組んでいる。ケインはその最後列で後ろの警戒をしているようだ。

 ただ、その警戒。ちゃんとしてるのか?そう思うぐらいに後ろから負のオーラを感じる。

 気のせいだ。きっと気のせいだ……。

 そういう事にしながらシャルロットと会話を進める。


「女神に頼まれたんだ。この近くの厄災のダンジョンをどうにかしてくれってな」

「まあ。ではツルギさんは救世主なのですね!!」

「救世主?」

「そうです。異世界から女神様が選んだお人。皆さん特殊な能力をお持ちで、この世界で会わられるダンジョンを攻略の全線に立っていただける方。女神様に選ばれた方でしたらあの素晴らしい魔法も頷けます。お会いできて光栄ですよ」



 そう安堵するように言っているが。

 ちょっとまて、

 

 

「皆さんっていうことは他にも俺みたいな、異世界から来た奴がいるってこと?」

「はい。そうです。主にギルドに入っているお方が多いですね。ダンジョンを攻略するために」



 なるほど。

 俺たちみたいな異世界から来た人間は認知はされているのか。

 確かに――無差別に次から次へと転生を送っているとティアラもいっていたし……。

 ダンジョン攻略が終わったらギルドに行くのがいいかもしれないな。

 他の異世界から女神に呼ばれた奴が、どんなのかも気になるし。

 まあ、おそらく俺みたいに捨てられたやつなんていないんだろうけどな……。

 

 

「因みに、ツルギさんはどの女神様の救世主様なのですか?」

「ん~」



 この場合どうなるのだろうか……。

 呼んだのは水の女神ミレアスフィールで、契約したのは剣の女神ティアラ。

 普通なら、こういうことはないんだろうけど。

 ただ、この場合は契約した相手になるだろうから、多分。

 

 

「剣の女神ティアラ」

「ティアラ様ですか……?」



 反応が薄い。

 

 

「知らない?」

「いえ、ごめんなさい存じてないです。私も色んな救世主様とお会いしてきましたが、そのような女神様は訊いたことありません。ただ――女神様も色んな方がおりますので」

「んー。そこの森となにか関係あるみたいだけど……」



 俺が呼んだと言ってたし、あの碑石が関係あるんだろうとは思うんんだけど。

 この近辺にまつわる女神ではないのか……。

 

 

「森ですか……。おかしいですね。あの森は光の女神マリア様の土地なのですが……」

「マリア?」

「はい。この辺りはあの方の加護により生命が守られている場所です」

「なら本当にマイナーな女神様なんだな」

「おそらくは」


 まあ、いいか。結果的に俺は契約して力をもらっている訳だし。

 一応約束通りダンジョンを攻略すれば……。

 

 それにほら。


 話し歩いた山の麓に大きな穴が開いていた。

 入口は明らかに人工的なもので、石のレンガでできたものだった。

 その入り口で部隊は止まる。

 

 

「もうしわけないのですが話はここまでです」



 先ほどまで柔らかい表情で世間話の勢いで話をしていたが、シャルロットの表情は真剣なものになる。

 なんと言うか、切り替えの良さは騎士らしいというか。

 流石に部隊を率いているだけある。

 


 さて――。


 

 どうやら、ここが厄災のダンジョンの様だ。

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