第10話

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 目覚めた時には知らない天井だった。

 いたるところに結晶のように生える鉱石が蒼白い光を放ち、薄暗くごつごつとした岩の中に作られた大きな洞窟の中で目を覚ました。



 ……って、またかよ!!

 

 

 また俺は知らない場所で目が覚めて……。

 ここまでの経緯をたどる。

 ケインめ……。

 思い出した記憶に映るケインのゲス顔に腹が立つ。

 

 アイツ、次あったら覚えとけよ……。

 

 

「とりにかく、戻るのは無理そうだな」



 見え上げる天井に空いた穴。

 先は真っ暗で天辺は伺えない。どれぐらい落ちたのだろうか?

 周りを見れば一緒に落ちてきたであろう、闘牛の姿も見当たらない。落ちてどこかへ行ったのか。消えたのか……?

 どちらにせよ、あんなものいない事に越したことはない。

 

 立ち上がり、広く空いた空間さらに奥深くまで見渡そうとするも仄暗く置くまでは見えない。

 道は二つ。前と後ろ。

 どちらも同じ規模で真っ暗な暗闇が続いている。

 

 

「どっちが進む道だ?」



 おそらくはまだダンジョンの中。であれば、戻るのではなく進むのが、この場合いいだろう。

 目的は元々このダンジョンの攻略である訳だから、下の方に落ちてきたのは逆に言えば好都合だ。

 いくらか階層を飛ばせたんじゃないだろうか?

 そう考えると、あのケインのゲス顔のムカつ度も緩和される。

 

 いや……。

 

 無理だな。アイツ次あったら本当にどうしてくれようか。

 

 

 とまあ、それはともかくとして。

 どちらでもいいから進んでみるか。下を目指せばいい訳で、上に行くようだったら引き返せばいい。

 

 ただ、

 

 

「暗いな……」



 上よりも光はなく暗い。

 結晶のような鉱石がいくつも光を放っているが、それも正直心もとない。

 まずは光の確保だな……。

 

 

「ソードクリエイト――クラウ・ソラス」


 形成したのは光の剣。

 その刀身は純粋な銀でできており、そこに刻まれた魔法文字が一たび火が着けば絶え間なく燃え続けるという意味を宿している。

 光輝き燃え盛ればその光は絶え間なく続き、邪悪な巨人や神を炎上にて浄化する細い聖剣。

 ランクとしては本来ならティルウィングをほぼ同等だが、俺はそれを完全にクラウ・ソラスとして形成するのではなく、力を弱めたその偽造として形成した。

 

 形としては、おそらくは最初にティアラに受け継がれた黄金状態ではないティルウィングと同じぐらいのもの。

 こうすることで、形成するランクも下がり必要魔力も少なくなるようだった。これで量産が可能になる。

 

 キーンッ――。

 

 

 俺はその銀の短剣を振るい、地面にその刃を鳴らすと、飛び散った火花により刃は引火し、その炎は青色の炎となって刃を包み強く恒星が如く発行した。

 

 そうして、それを俺は投擲し、目の前の天井にぶっ刺した。

 

 刺さったクラウ・ソラスが照明となり、先ほまで仄暗かった空間を強く照らす。

 まるで蛍光灯だ。

 


「聖剣をただの証明がわりにするとか、罰当たりもいいとこだな……」



 自分のやっていることに若干の後ろめたさを感じながらも、俺は進み始めた。

 

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