横浜市の皆様へ

『あの日、ダイヤモンドプリンセス号を受け入れてくれた横浜市の皆様へ』



横浜市の皆様へのお礼のメッセージは、何よりも真っ先に書きたいと思っていました。


けれど、皆様から頂いた支援と温かい愛情を思い出す度に、胸に熱い思いがこみ上げてきて、堪えきれない涙で画面が滲んでしまい、どうしても文章が先に進まず、手が止まってしまうため、こうして最後となってしまった事をお許し下さい。


ダイヤモンドプリンセスを受け入れる事は、恐らく多くの横浜市民の方たちが、本意では無かったと思います。


特に妊娠されている方や、小さなお子さんのいる家庭は大きな不安だったと思います。


このダイヤモンドプリンセス号の件以降、他の国では一斉にクルーズ船の受け入れを拒否し、多くの船が海上をさ迷う事になりました。


香港では、帰国したクルーズ客の滞在施設前で大規模な受け入れ反対の激しいデモが展開されました。


未知なる恐ろしい物は徹底的に遠ざけ排除する。


それが世界の一般的な反応だと思います。


しかし、ここ横浜は違いました。


誰もが不安になりながらも、受け入れると決まった瞬間から、横浜市の皆様は可能な限りの支援をこの船へ行って下さいました。


地元の企業様からはあらゆる差し入れが船内へと届けられ、横浜の港を行き交う観光船は、船体に「頑張れダイヤモンドプリンセス」と書いた激励の横断幕を掲げてくれました。


また、横浜の地元ラジオ局はダイヤモンドプリンセスの乗船客に向けて、励ましのメッセージを発信し続けてくれました。


こうした横浜市民の皆様からの応援は、船内で不安な日々を過ごしていた乗船客達を勇気づけ、明日への希望の光となりました。


しかし、あの船を受け入れた事で、

『怖いから横浜には行かない』

そんな心無い言葉を横浜市民の方たちが受ける事もありました。


観光地としては非常に大きなダメージだったと思います。


それでも、横浜市民の方たち自身も苦しい思いをしながらも、ダイヤモンドプリンセスへの励ましと支援を途切れる事なく続けて下さいました。


地元の病院は、船からの多くの患者の方たちを懸命に受け入れて下さいました。


まさに、「人道」の手本を横浜市の皆様は世界に示してくれたのだと思います。


そこには161年間、港と共に生き、数えきれないほどの船を受け入れてきた横浜の人々の矜持が感じられました。


乗船客のひとりが言った言葉を覚えています。


「受け入れてくれたのが、日本で良かった」


私も全く同じ気持ちです。


そして、受け入れてくれた場所が、横浜であった事に、何よりも感謝しています。


今、私の人生で最も愛している場所は横浜です。あの美しい港町、そしてそこに住んでいる人々を、誰よりも愛しています。


Twitterを通して、沢山の横浜の皆様と通じ合えた事は、何よりも幸せでした。


またいつか船に乗って旅をし、横浜の皆さまにお会い出来る日を今から楽しみにしています。


改めて、あの日ダイヤモンドプリンセスを受け入れてくれた、横浜市の皆様、神奈川県の皆様に、心より御礼申し上げます。


本当にありがとうございました!

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