第4話
しかし、雪子はこの事実を受け入れざるを得なくなる。
その後も、美紀子のように顔の一部に雪の結晶を浮かべた人が何人か雪子の前に現れた。
ある者の結晶は左のおでこに浮かび、ある者の結晶は右の目の周りを覆っていた。
彼、もしくは彼女たちは雪子が好むと好まざるに関わらず、雪子と深く関係した。
雪子はそれが恐ろしくて、結晶を持つ人を避けたこともあるが、どんなに避けても彼らとの関係は断つことができなかった。
それができるのは、雪の結晶が青か赤に色づいた後だった。
雪子と良好な関係を築いた者の結晶は青く冷え、一時は良好な関係だったとしても、雪子を裏切った者の結晶は赤く染まり、一瞬たりとも青く染まることなかった。
事前に色がわからなければ、意味がない。身構えて受け入れるべき人を遠ざけてしまっては元も子もない。
なんて必要のない力を自分は持ってしまったのだろう。これは祖母から受け継いだものだろうか。
美しく優しかった祖母は、どこか不思議なところがあり、周囲を戸惑わせる発言をしていた時期もあったそうだ。
大好きな雪江ばあちゃんの贈り物。そう思うと、自分の能力を呪うことはできなかった。
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