4-3
朝になると、さっそく叔母が事情聴取にやってきた。
「いい人でしょ? いい人だったでしょ、猪塚さん」
「まあ、ねえ」
叔母のテンションは朝からマックスだ。
何もなかった日々に持ち上がった出来の悪い姪っ子の将来問題。
あんたが帰ってきてから、あの子、なんか生き生きしてるわねえ。
母は叔母をそう評していた。自分は役に立っているのか、叔母の人生のガソリンにされているのか、美里はちょっとおもしろくない気分になる。
それに、周囲に反対される恋も望んでないが、ここまで強くリードされるとやはり反発のひとつもしたくなる。
「叔母ちゃん、私、陶芸やりたい、本気で」
「え、何言ってんの? うそでしょ?」
叔母が怪訝な表情でこちらを見ている。
「ううん、ほんと。本気」
口にしてみると、それは思った以上にしっくりと胸に落ちた。
これが私の本心だったのか。美里も内心驚いていた。
「えーっ・・・」
叔母が美里を危ないものを見るような目で見ている。
「そんな目でみないでよ」
「だってえ・・・」
叔母はその日、肩を落として帰って行った。
美里は自分の発言に引きずられるように、それまで以上に教室に通い、土をこねるようになった。
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