4-2
その夜も姫がやってきた。姫は机の上の六花鏡もどきを手にすると、一通り撫でまわし、それに飽きると美里に話しかける。
「で、どうじゃった、シイタケ男は?」
口の悪い女だ。
「まあ、それなりに」
「ルックスは好みだったようじゃのお」
見透かされている。
「まあ、そうですね」
美里は正直に認める。どうせ夢の中の出来事だ。だったら赤裸々に語ってやれ。
「確かに見ためは好みだった。人柄もいい。でも、いい人なぶん、男って感じはしなかったな。でも、そんなに男おとこした奴も嫌いなんだけどさ。マッチョとか最悪だし。だから、全体的には全然合格点ってゆーか、ぶっちゃけ好みだった、みたいな? シイタケってところが気になるけど、夢に向かって突き進んでる行動力と頭の良さは評価できるし、尊敬もできる。つまり、私にはもったいような人で、そもそも私のことなんて好きになるかもわからないんだけど、でもねえ・・・田舎の大人たちの思うままってゆーか、いいようにされるってゆーのが、なんか我慢ならなくてさ。おまえなんか一回失敗してるんだから、言うこと聞けよ、聞いておけばいいんだよって言われてるみたいで。それも仕方ないんだけどさ。ペナルティと思えば優しいぐらいなんだけど、私も器が小さいからさ・・・」
姫の反応がない。
おかしいと思って姫を見ると、六花鏡もどきを胸に抱きながらウトウトしている。
「嘘でしょ」
なんなの、こいつ・・・
そう思いながら姫を睨んでいると、急激な眠気に包まれる。
鼻腔をつく白檀の香りを感じながら、美里も眠りの穴に落ちていく。
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