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 貯めた金はあっという間になくなった。地味に生活していても、生きていくことには思いのほか金がかかる。

 それを知った時の絶望たるや・・・絶望のあまりおかしくなってしまったのかもしれない。

 追い詰められるまでは完全に否定していた借金に私は手を出した。

 借金するときだけは都心へ出た。

 住んでいる町には同じ大学に通う者もいるかもしれない。ひと目を避けるために、人のたくさんいる街へと逃げた。

 楽しい気分ではない。

 それでも街に身を置くと気持ちが小さく沸いた。

 自分はほんとに都会が好きなんだと思った。

 ないものねだり。

 そんなことはわかっていが、高層ビルから見える夜景は、どうしようもなく私の目元を湿らせた。

 感動の涙は恨みや情けなさの涙に変わり、借金が百万円を超えたところで、私は自分の名前と同じ読みの町へと帰ることになった。

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