｢避難とは生活全てを捨て去ることだ。簡単に言わないでほしい｣(シンゴジラより)

避難民の目で見てみましょう。
突然、王命による避難指示が出る。魔王の脅威は知らされていたとはいえ、まだ見ぬ魔王よりも理不尽な命令を出した王候貴族の方に不満がいく。住み慣れた土地と家を捨て避難したとしても、その後の生活の保障はない。西部地区全域の避難民なら数十万規模になると想像出来る。そのフォローを王家が出来るとは思えない。魔王に殺されるか避難して餓死するかの選択しかないように思える。
避難の旅も悲惨だ。いくら陸路を整えてもそれだけの馬車を用意出来る筈もなく、移動は徒歩で数週間をかけることになる。この世界は子供に厳しいから子供にも大人と同様の行動が求められる。数十万人の移動の為の食糧など用意出来る筈もなく、疲労と空腹で死者もあり得る。
身も心もボロボロの状態で王都に辿り着いた時、建国祭で馬鹿騒ぎをしていたら避難民はどう思うだろう？王都民と避難民の間で争いが起こってもおかしくない。王都民にはいい王様かもしれないが、避難民には２年前の失態と合わせ最悪の王と映るだろう。ガス抜きの為に祭というのは分かるが、それは全ての避難が完了し暫く経ってからであり、この時期ではないと思う。
更にこの国はレギア難民という問題を抱えている。EUを見れば分かる通り難民問題は簡単ではない。エクセレイ王国でも少なくない民衆が不満を抱えていると想像出来る。その不満の行き先は王家への怒りとなると予想出来る。
もうひとつ、この国の王家は表面的にはともかく本質的に民衆を蔑ろにしているように見える。でなければ、やたらと｢不敬｣という言葉は出てこないだろう。自分達は特別で尊い存在でありお前達とは違う、と声高に主張しているように見える。エクセレイ王家など僅か100年前には存在すらしていなかったというのに。王候貴族がそんな態度なのだとしたら民衆の支持は得られないのではないか？
２年前の大失態による国力の低下、貴族階級の混乱、レギア難民問題、今回の強制避難による民衆の怒り。魔王が来る前からこの国は行き詰まっているのではないか？王家を支持しているのは王家の周りだけで人心は王家から離れているように思える。
ロシア革命は世界大戦中に起きた。魔王戦の最中にこの国で革命が起きないことを切に願いますf(^^;

長文、失礼しました(^_^;)

差し迫った戦争の足音が聞こえつつ、日常のほんわかさが楽しい回でした。