あふたーすとーりー
?「ねー、ビール冷えてないんだけど」
俺「買ってきた後、冷蔵庫に入れないのが悪いんだろ」
むー、と頬を膨らませるのは、幼馴染にしてカノジョ、そして同居中の大学生、
はぁ、とため息をつくと、机に肘を置き頬杖を立てる。
雨谷「やっとお酒飲めるのにー」
俺 「やっと二十歳になったもんな」
あれから3年、俺たちは大学生になった。
同じ大学に通い、お互いにバイトをして、一つの部屋を借りている。
バイトを始めてから、以前より一緒に居れる時間は少なくなってしまったものの、俺はこうして雨谷と一緒にお酒が飲めるだけで充分幸せだと思っている。
雨谷「…それに、せっかくの記念日なのに…」
そう、今日は付き合い始めてからちょうど3年目の日なのだ。
俺はそれを聞くとクスリと笑う。
そして雨谷の頭に手を置いた。
俺 「お酒飲んだことねーのに、冷えててもぬるくても、たいして変わんねーよ」
雨谷「…だってあきちゃんが言ってたもん、キンキンに冷えたビールが喉に初恋をくれるって」
俺 「さすがあきちゃん、なんか言い回しがオシャンティーだな」
雨谷「だから、冷えてないとだーめーなーのー!」
と、ぐずり出す雨谷…ホントこう言うところは昔から変わらない。
はぁ…と、ため息を吐くと、食器棚からボウルを取り出し、その中に氷と塩を入れて混ぜる。
俺 「それ貸して」
雨谷「ん」
ほいとビールを投げる。
それをキャッチするとそのボウルの中に缶を突っ込んだ。
待つこと1分。
俺 「ほら、冷えてんぞ」
雨谷「へぇー、ホントだキンキンだね」
ふふっと笑うとプルタブを引く。
コクコクと雨谷の喉が動いた。
俺 「あ、ちょっと待てよ、乾杯するだろふつーよ」
雨谷「えー、そんなことしたって美味しくならないしー、あと、なにこれビールって不味い」
俺 「踏んだり蹴ったりだなお前」
はぁ、と小さくため息を吐く。
俺もビールのプルタブを引いた。
雨谷「…だけど」
俺 「ん?」
雨谷「3年間ありがと、これからもよろしくね」
にこりと笑う。その笑顔を見て俺も思わず口元を緩めた。
俺 「あぁ、よろしく」
そして、小さくキスをすると、お互いに笑いあう。
この先何年、いや、何十年もこうして雨谷といられればいいなって、来年の今日も思うのだろう。
次は指輪でも渡してやろうかな。
…。
なんてな。
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