えぴそーど11 昼ごはん

 それはとある日の土曜日。


 ?「…ごめん、もう私…ダメかも」


 俺「奇遇だな。俺もだ」


 ?「え、なにそれ酷くない?」


 俺「あぁ、まさかここまで酷いとは思わなかったよ…雨谷あまや


 テーブルにぺたりと頭を垂れているこいつは、幼なじみにして隣の席の雨谷あまや


 今日は約束通り俺の家で勉強をしている。


 だが、雨谷は思った以上の強敵で、これは長期戦になる予感がする。


 て言うか、1回目のテストより、追試の方が点数が低いと言うのは、一体どういうことなのだろうか。


 まずはそこを小1時間程度、問いただしたいところなのだが、そんなことをしていては拉致が開かない。


 てか、もう理屈云々の話じゃない。こいつの頭がX未知数だ。


 はぁ…とため息を吐いて時計に目を向ける。


 時刻は11:45。もうじき昼飯の時間だ。


 雨谷もこの様子だし…、少し休憩を入れてもいいかもしれないな。


 俺 「よし、一旦昼飯にしようぜ」


 雨谷「やったー昼ごはん! 私、ステーキがいい、味付けは塩胡椒で」


 俺 「欧米か…焼きそばでいいか?」


 雨谷「えー…うそ。ありがと」


 俺 「りょ、そんじゃ作ってくるわ」



  15分後。


 雨谷「へぇ、料理できたんだ」


 俺 「舐めんな、お前じゃあるまいし」


 雨谷「私だってできますー」

 

 俺 「はいはい、早く食えって、冷めんぞ」


 雨谷「ん、それじゃいただきます。」


 割り箸をパキリと割る。


 焼きそばを口へと運んだ。


 雨谷「んー」


 俺 「なんだよ」


 コクリと飲み込み、こちらに顔を向ける。


 雨谷「…なんかちょっと悔しい」


 俺 「いや、本当になんだよ」


 雨谷「普通においしいじゃん」

 

 その言葉を聞いた瞬間、ほんの少しだけ口元が緩んでしまった。


 それを不覚に思いつつも、言葉を返す。


 俺 「まぁな、勉強して頭使ってるやつに不味い物は出さねーよ」


 すると、少し驚いたような表情を見せた後に柔らかく微笑み、


 雨谷「ありがと、次は私が作るから」


 と美味しそうに焼きそばを頬張った。

  


 

 


 

 

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