えぴそーど2 宿題

 とある日。


 それは宿題の提出間際の朝の9時。


俺 「…やっちっまった…」


 リュックを漁る手を止める。


 そして諦めるようにため息を吐いた。


俺 「宿題、忘れた…」


? 「へぇー、忘れたんだ」


 そう言ったのは、隣の席に座る雨谷あまや

 クラスの人気者にして、俺の幼馴染だ。


俺  「あぁ、忘れた。だから見せてくれね? 」


雨谷 「えー、無理」


俺  「なんでだよ、消しゴムは見せたのに、宿題は見せてくれないのかよ」


雨谷 「だって提出しちゃったし」


 その後に、「あーぁ、あと5分早ければなー」と笑う雨谷を横に俺はもう一度ため息をついた。


 まぁ、別にこの宿題が人生に大きなダメージを、与えるわけじゃないし、いいか。


 雨谷が席を立ち、教室を出て行く。


 その背中を見送ると、すぐにスマホがピコンと鳴った。


 通知を開く。


俺 「…は?」


 素っ頓狂な声がポロリと溢れる。


 LINEのトーク画面に添付された二つの画像。

 

 その最後に。


 「後でスタバ、奢ってね♡」


 と、軽く吐き気を起こす一文が表示されるの見て、俺は思わず口元を緩めた。


俺 「…まぁ、時には奢ってやってもいいかな」


 そうして俺は、ノートを開き、画像通りに書き写して行くのであった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る