第2話起きたらそこは無人島
「どこだ!?ここ!?」
海と森と二人を何回も見て、状況を整理しよるとするが、やはり理解できない。
「僕も分からない。目が覚めたらここだった」
照もか。健二も同じだろうな。
俺らは確かにゲームのためにバスに乗ってたはず。どうしてこんなところに・・・
「なあ、健二、俺らってゲームをするためにバスに乗ってたよな!?」
「そうだな」
焦った様子もなく答える。
「じゃあ、どうしてこんなところにいるんだ!?」
「もうこれがゲームなんだ」
「何言ってんだ?」
これがゲーム?それじゃあ、まるで本当にサバイバルをしろっていわれ言われてるようなもんじゃないか。
「俺らは本当のサバイバルに参加したんだ」
俺と照は同時に驚いた。いまいち何を言っているのか理解できずに、互いに顔を見合わせる。すると照は考えるそぶりを見せる。
やっぱり納得するしかないのか?
でも、健二は一回参加してるんだよな?なんでこのこと秘密にしてたんだ?
「健二、本当にサバイバルするって知ってて、どうして紹介してきた時にそのことを俺らに言わなかったんだ?」
そう聞くと、健二は少し戸惑っていた。
「だって、このことをお前らに言ったら断っちまうって考えたら言いたくなかったんだよ!」
申し訳なさそうな声色で言ってくる。
だからって・・・まぁ、言われてたら断ってたかもしれないけど・・・
そんな中、照が落ち着いた様子で健二に質問する。
「要は無人島で生き抜けばいいんだよね?」
なんで落ち着けるんだろう。
「そうだな」
「何日間か分かる?」
「分からない」
ん?
「どういう事だ?」
それが分からないって、なんなんだよ。
「このサバイバルの説明にあったように生存者が10人になるまで終わらない」
「おま、それ本気で言って・・・」
必死に理解しようと健二を問い詰めようとしたその時、少し遠くで爆発音のような音が鳴った。
「何だ?今の音?向こうからしたよな」
音のした方に指をさす。俺の指の向いている方向を見て、照も健二も頷く。
「ちょっと確認してくる」
「おい!未来!そっちに行ったら・・・」
健二の言葉を他所に音のした場所を目指して走り出す。
「爆発音がしたってことは地雷とかでもない限り、人が故意に起こしたものってことだろ。生き残るなら人数が多いほうがいいだろ」
一応向かう理由も言っておく。
「明らかに爆発音だったね。健二、未来が危ないかもしれない。急いで追おう」
「あ、ああ」
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木の枝をかき分けて森を進んでいると木々が倒れているところに出た。
やっぱり、爆発だったんだ。ってことは人がいるよな。
「すみません!誰かいますか!」
声を張って聞いているが反応はない。
じゃあ、地雷かな?動物を狩るために使ったのか?
爆発で、草が無くなった場所に入ってその惨状を見ながら歩く。
木が倒れており、それに乗りあがって、その奥に進もうとその木から降りる。
すると、何故か地面に降りたような感触がせず、少し柔らかい感触を味わった。
「何だ?ここ、感触が違うような・・・ッ!!」
そこには、木の下敷きになって横たわっている男性の体があった。
その体からは血が溢れ、所々に皮膚がめくれ上がり、肉や骨が見えていた。
明らかに死体だった。
「ああっ・・あぁぁぁ!!」
未来の跡を追って森を進んでいると、突然響き渡った。
「今、未来の声だったよね?急ごう!」
爆発があったと思われる場所に照と健二が着き、真ん中に倒れている木に乗り上げると、そこには未来の姿があった。
「未来!良かった。無事だった」
「未来、ここは危ない元のところに戻ろうぜ」
しかし、未来は反応しない。ただ呆然と立ち尽くしているだけだった。
顔を窺うとその顔は戦慄していた。
「どうしたんだよ・・・ッ!!これは・・・」
未来の視線の先には死体があった。
「ああ、最悪だ!ひとまずここから離れるぞ!未来、照!走れるか!?」
健二の声に照は反応するが、また未来の反応がない。
「未来!このまま留まってたら死ぬぞ!」
どれだけ声を掛けても無駄だった。
健二は未来の体を揺すりながら声を掛ける。
「これでも、反応なしか。だったら、未来、許せよ」
パンッ!!
「あっ・・・健二、照・・・」
健二が未来の頬に平手を打つと、未来は怯えた声を出しながら反応を示した。
「ここから離れるんだ、走るぞ!」
「う、うん」
三人は必死に走っているうちに最初にいた砂浜まで戻って来ていた。
静寂に包まれた部屋の中、一人の男が座っていた。
その男が手に持っているリモコンを押すと部屋の壁や床に映像が映し出される。
映っているのは、未来たちのいる無人島だった。
そして、爆発音が部屋に鳴り響いた。
その音を聴いた男は、笑みを浮かべて映像に注目する。
「始まったね。さぁ、誰が、どんな能力(エンブレム)が生き残るかな?」
爆発音が消え去った部屋の中に、ただ男の笑い声だけが木霊した。
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