第12話 また海辺で
「目菜さんは、また、上に羽織って…、水着姿は魅力的だろうに。」
親友にして、幼馴染みであり、腐れ縁、悪友の残念そうな言葉に、
「あれでも、勇気出した結果なんだから、俺は、嬉しいよ。下には、ビキニを着ているんだから。」
田蛇はしんみりと言った。さらに、
「他人に彼女の魅力的な水着姿を見せたくないし。」
と付け加えた。
「残念だな。」
本当に残念そうな顔をしたので、
「戸奈だって、かなり魅力的じゃないか。」
彼女の水着姿をじっと見つめながら慰めたつもりだったが、
「お前だけ見てずるいぞ。目隠ししろ!」
怒っているふりをしていたが、目は笑っていた。
「まあ、目菜さんの水着姿を見てないわけだから、まあ、許してやるか。」
“本当は、僕だけに、と見せてくれたけどね。”
「お前の姉ちゃん、本当に色っぽいなあ~。」
「まあ、美人の姉さんだと、自慢に思っているがな。て、お前も昔から、見てるだろう。」
そう言いながら、つい視線を向けてしまった。
「一寸、どこみてるのよ?」
戸奈。
「浮気は許さないわよ!」
目菜。二人がいつの間にか、後ろにいた。
戸奈は、並んで歩く目菜よりかなり小柄なため、ビキニを着た胸がより目立った。目菜は上に、薄いが長袖のティーシャツを着ていたので、豊かな胸は見えなかったが、長いスラッとした白い脚が帰ってい目立った。海辺の男達のかなりの視線が彼女達に集まった。
「彼とどこまでいったの?」
皆の飲み物を買いにいったん帰り道、唐突に戸奈が尋ねた。
「何処までって…。」
目菜が答えに窮していると、
「ごめん。どうしたらいいのか、分からなくてさ。男って、体を求めたがるというじゃない。彼は、エッチな目で見ていることも多いけど、そんなことは求めない。それには、複雑な感じなのよね。ちなみに、キスはしたよ。舌も入れて。」
そこまで言うと、真っ赤になった。それを見ると、自分も答えないとと思ってしまい、
「私もキスまで、軽いキスだけ。二人で唇を近づけて。あ、でも宵谷君は戸奈さんを大切に思ってのことだと思うよ。」
「それはあなた方の方でしょう。まあ、二人とも大切にされているということで、よかった、よかった。」
笑い合っていると、
「彼女達。僕達と遊ばない?」
とお定まりの展開で、数人の男達が、声をかけてきた。戸奈は適当に、あしらって行こうとしたが、一人がしつっこく声をかけ続けて、二人についてきた。はずみで、相手にもその気があったわけではなかったのだが、男の手が目菜の肩に当たった。
「きゃー」
目菜が座りこんで泣き出した。あまりのことに男達も、呆然としているうちに、
「どうした?」
幅広い年齢の男女が、
「どおしたんだい?」
と駆けてきたため、そそくさに立ち去っていった。
「何だって言うんだよ。」
そう捨て台詞を残していったが、それ以上騒ぎをおこそうとはしなかった。
「大丈夫か?」
田蛇が優しく声をかけて、手を差し出すと、目菜はカバッと彼に抱きついてきた。
「暑いわね。戸奈ちゃん、飲み物、冷たい飲み物!」
「は~い。これ、みんな取って!そこの二人は、残りもので我慢してね~。」
二人は、そのまま抱き合っていた。離れるに離れられなくなっていたのだが。
「ごめんね。また、やっちゃった。」
「気にしない、気にしない。」
メロディーをつけて言ってから、
「お互い助け合って入るだけだよ。二人で、みんなを、誰かを守ればいいのさ。」
「うん。」
“ウ~ン、幸せ!”と何となく感じた二人だったが、その後、冷やかされることになったが。その後、一進一退、一歩進んで二歩下がるを繰り返しながら、二人の仲は深まっていった。初詣の人混みで痴漢にあった二人、何と田蛇もお尻を撫でられた、はしばらくギクシャクしてしまった、これが最大の後退だった、が二年になる直前に、甘~いディープキスまでいった。ちなみに、二人は楽々単位は完全にクリアしていた、ほぼ全Aで。二年早々、幸せいっぱいの二人だったはずなのだったが。
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