19

 村上忠海はウシャスの光をまともに浴びた。

 足が止まった。

 その瞬間、痛みが走った。

 気がつくと、あお向けに寝転がっていた。

 底抜けに明るい青空が見えた。

 撃たれた。それが判った。

 フィーはそばにいた。

 力がまるで入らなかった。

 左手にフィーの尻尾を握っている。

 残りの力をすべてこめた。

 決して離さない。

 それだけを思った。

 首から下の感覚が鈍かった。

 寝ているところを続けざまに撃たれた。

 死ぬなあ。他人事のように思った。

 あたりが暗くなってきた。

 目が霞んでいる。

 忘れてはならない。決して手の力を緩めてはならない。

 離してはいけない。

 長い尻尾の感触に意識を集中した。

「スー……ニ」

 暗黒が静かに忠海を覆い隠した。

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