KAC2023終了の話

 しかし、締め切りがないとダメですね。今年のKAC、ノリで幼女出して参加してみたんですけど、幼女のモデルがあまりにもアレだったのと、お題とのかみ合わせが異常に悪かったのもあって、結局最後はぶん投げてしまいました。ちょうどお題が「いいわけ」だったのも神のお導きだったのでしょう(絶対違う)。


 ちなみに最後の神の声は「女神と言えばこの人」にお願いしようと思っていました。メタネタにあふれてます。年度末を無事越えられたらラスト一話書いておきたいなあと思いつつ、書けるのか自信ないです。


 さて、そんな今年のKAC、例年になく連作が目立ちましたよね。俺、KACは最初の1回目から毎回連作で挑戦しているんですが。字数制限がなくなってますます連作しやすくなったのもあるんじゃないでしょうか。ちょっと今さら感がなくもないですが、面白かったのをピックアップしてみましょう。


 まず、lagerさんの「くわがた荘シリーズ」。変人ばかりが住むボロアパート「くわがた荘」の住人たちが繰り広げる群像劇です。俺は世代的にはめぞん一刻をすぐ思い出すのですが、昔からよくあるパターンみたいですね。今回の最難関お題「筋肉」も楽々(むしろ嬉々として)クリアしたあたりがlagerさんらしいです。単なる住人たちの群像劇じゃないところがとても素晴らしい。ひねりが効いてます。ひねりが効きすぎて兄妹のお料理回をホラーと勘違いした読者が多数。俺の連作のネタにいただきました。

 https://kakuyomu.jp/works/16817330653864410617


 次は月船みゆさんの「桃子ちゃんシリーズ」。毎回7千字から1万字のボリュームで連作して、「この人正気か?」と思ったら見事に完走されました。すごい。全7作で6万字オーバーですよ。こりゃそのまま3万字足してカクコン出せますよね。

 お話の内容はというと大正時代っぽいレトロな雰囲気で、女学校を出てすぐ結婚した桃子ちゃんが主人公です。お相手は大学の研究者。若妻の新婚風景が繰り広げられるのですが、この桃子ちゃん、腕に桃の実がなるという奇病にかかっているんです。いやあ、この舞台設定が秀逸ですよね。面白すぎる。しかもこの桃子ちゃん、そんな病気にもかかわらず底抜けに明るい。そして新婚の夫が桃子ちゃんの病気を研究する医学研究者なんです。この夫がまた冷徹クール系。舞台設定も素晴らしいですが人物設定も面白すぎ。とにかく面白かったです。各話のボリューム感を噛み締めながら是非ご一読を。

 https://kakuyomu.jp/users/haru-0423/collections/16817330653923546031


 そして水城しほさんの「君色流星群シリーズ」。水城さんも毎年KACでは連作されているのですが、今年は中学生の現ドラ恋愛もので来られました。両片思いの幼馴染二人とそれぞれに思いを寄せる男女。合計四人の四角関係を書いてまして、それぞれ順番に視点語り手が交代するという形式です。中学生の恋愛ものはみずみずしい感じがよく出てますよね。結果はおおかたの予想どおりなんですが、テーマがテーマなので変にいじらないところがよかったです。

 ただ主人公の幼馴染同士が二回ずつ、主人公の二人に思いを寄せる男女が一回ずつ、それぞれ視点語り手を担当すると、一回余っちゃうんですよね。この余った一回をどうやって消化したのかというと……。それは読んでのお楽しみにしておきましょう。いや、苦労されたんだろうな、とは思いました。笑

 https://kakuyomu.jp/users/mizukishiho/collections/16817330653919886238


 そして薮坂さんの「コントシリーズ」。毎回、セリフだけのコント形式でゴリ押しで笑わせに来るシリーズ、これは単純に面白かった。薮坂さん、毎日こんなこと考えながら仕事してんの? と社会人として少し心配になったりしました。少なくとも俺は会社で部下がこんなこと考えながら仕事してたら嫌ですねー。いや、叱ったりはしませんよ。ただ近づきたくないとか思いそう。

 とにかくこれは思いついたもん勝ち、そして書ききったもん勝ちですよね。

 https://kakuyomu.jp/users/yabusaka/collections/16817330654540142624


 さらに竹神さんの「最強中学生シリーズ」。もう出だしからメタネタで乗り切っちゃおう感をまき散らしてましたからねー。さすが昨年T子さんシリーズで話題をかっさらっていった竹神さんだけのことはあります。今年は登場人物を全員メタで固めるという暴れっぷり。話のつながりもガン無視するという小説技法として新境地を拓いています。こういうのを思いつくのを天才と言うんでしょうね。ただメタネタが分からない人にはまるで面白くないかもしれないという一抹の不安が残りますが。

 https://kakuyomu.jp/users/chokorabonbon/collections/16817330653606191058


 最後は宇部さんのBLシリーズ。毎回BLの二人をめぐる話と、それを見守る腐女子視点の話の二作建てになってるところがミソでして。俺はBLの二人視点の方はすっとばして腐女子視点の方を楽しんでました。やっぱいるんですか。こういう澄ました顔してるけど頭の中ぎっちりエロ妄想で埋め尽くされてる腐女子。こわいですねー。しかし宇部さんも毎回二作建てで全7回完遂するとか、わりと正気じゃないですよ。狂気を感じてしまいました。勢いに負けた感じです。

 https://kakuyomu.jp/users/NiKaNa_DaDa/collections/16817330653817325909


 こんな感じです。ほかにもいとうみことさんの現ドラ恋愛ものシリーズとか羽間さんのお嬢様野球部シリーズとか、今年のKACは連作ものが豊作でした。というか、どちらかというと連作が主流になってきた感までありますよね。第1回のKACから連作していた俺にはなかなか感慨深いものがあります。

 あ、そう言えば薮坂さんも最初のKACは連作でしたよね。冒険野郎シリーズ、これも傑作ですので是非ご一読を。

https://kakuyomu.jp/users/yabusaka/collections/16816452219407818894

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