カクコン用新作長編の話

 ついに、ついに、書き始めたんですよ。カクコン用の新作長編。だーいぶ構想で迷ったんですけどね。シリアス・サスペンス・ミステリー的な青春大河ドラマっぽいのになりまして。これ、壮大すぎてまとめ切れるのかなあ。心配です。


 俺的には珍しい複数ヒロインで話を進めていく構想なんですが。はたして誰が真のヒロインなのか、は最後のお楽しみ、ということで。頑張って12月までに8万字書きたいですねー。


 ところがこのお話、プロット組んでいて困ったことが一つありまして。


「この話、幼女も変態も出てこねーじゃん」


 そうなんですよ。俺から幼女と変態取ったら何が残るんだ。何も残らんじゃないか。タッチがシリアスになりすぎてみなさんのご期待に応えられないのではないかと心配しているんです。うーん、でもこのプロットに幼女はともかく変態を放り込むのはさすがにムリがありすぎるし……。どうしたもんでしょうか。


 図らずしも自己のアイデンティティと直結する部分の悩みになってしまいましたが。カクコン新作、乞うご期待ということで。執筆してて困ったらみなさまのところにこっそりご相談に行くかもしれません。その時はよろしくお願いします。


 ということで最近ハマった小説のご紹介。異世界ファンタジーっぽいのを集めてみました。



「灰色の花(⭐︎改稿2021年版⭐︎)」 悠栞さん

 https://kakuyomu.jp/works/16816452221323762523


 異世界ファンタジーですが、どちらかというとキャラ文芸に近いです。主人公メレンケリは触った物をことごとく石にしてしまうという能力の持ち主。彼女の意思に関係なく触れたものはことごとく石になってしまいます。そんな彼女の職業は「軍事警察官」、要するに罪人の死刑執行官です。自身が欲したわけではない能力のせいで思い描いた人生を送れない葛藤が淡々とした描写で描かれています。そんな中、現れた一人の罪人。たいがいの人がおそれる彼女の能力にもひるみません。


 今のところお話はここまでなんですが、この世界観と人物描写、引き込まれますね。派手な描写や筆致は出てきませんが、落ち着いていて過不足ない、基礎のしっかりした文章で綴られていて読みやすいです。個人的にひそかに悠栞さんを日本語の師匠と思っています。今後の物語の展開に注目したいですね。蜜柑桜さんとすこーし文体が似てるなあ、と思ったりしています。



「シェ レ シュエット ―訳あり専門骨董店―」 かこさん

 https://kakuyomu.jp/works/16816700426346027557


 香鳴裕人さんの自主企画「問えば響く君の答え」の参加作です。

 令嬢カロルは身分違いの元恋人からもらったサファイアの指輪を持って骨董屋に訪れます。望まぬ結婚をする前に、手紙とともに骨董屋の店主に指輪を預けました。この指輪を作った職人(が元恋人なんですが)を探して手紙とともに渡してくれ、と。

 カロルの真意は? 骨董屋の店主はどうしたのか?

 このお話、初稿の時は今の半分ぐらいの長さしかありませんでした。テンポは良かったのですが、ハイテンポすぎるなあと思っていまして。主人公のカロルが令嬢はもとより男か女かも途中までまったく分からない構成だったんですよね。ですが、改稿されて前段の導入部を付け足したことによって、ぐっとお話に安定感が出ました。


 これも世界観が素晴らしくて。お話に出てくる小道具の数々が、見事に世界観にマッチしています。令嬢、身分違いの恋、骨董屋、政略結婚、サファイアの指輪。これを無理なく全部使いこなすにはたしかにこの世界観が一番です。中世ファンタジーっぽい展開ですが、むしろファンタジー要素はほとんどありません。これもキャラ文芸よりだと思うんですよ。これ長編ないしは連作短編にできますよ、とコメントしておきました。


 ところで、かこさんはエッセイも書いておられます。俺のフォロワーさんには、変態エロおばさ、失礼、エロおねーさんがたくさんいらっしゃる中で、かこさんは孤高の高潔純粋純文学系文学美少女というイメージをもっていたのですが、このエッセイのテンションで認識を改めました。ジャッジメントを愛読していただいていた時点でもはやかなりの変態です。笑



「追放された悪役令嬢は、追放、追放……ついほ……つ?」 永都佐和さん

 https://kakuyomu.jp/works/16816700426168887593


 いやあ、悪役令嬢系はもう出尽くした感あるでしょ、と思いきや。出ましたよ、新機軸。とある理由で追放されたい悪役令嬢(ホントはコミュ障で変態なだけ)が追放されようと躍起になるというノンストップナンセンスコメディ仕立ての物語です。正直ストーリーにはあまり重点はないんじゃないかと思います。

 まあ、細かいこと突っ込まずに、永都さんの独特のワーディングセンスを噛み締めながら「くだらねー笑」と肩の力を抜いて、笑って読むのが一番なんじゃないかと思います。たぶん永都さんの作意もそこにあるんじゃないかと。こんなこと断言して、違っていたら失礼極まりないですよね。もし間違ってたらごめんなさい。

 でも更新されるたびに読むと謎の笑いがこみ上げてくるノンストップナンセンスコメディ、センスがないと絶対書けませんからね。これはおススメ……しづらいですね、一般の方には。ノンストップナンセンスコメディに理解とご関心のある方は一度読んでみてください。

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