ワクチン打ちましたよ、という話

 すべてにおいて動きが鈍いと批判される我が街においてもやっと順番が回ってきまして、今日集合接種会場に行ってワクチン打ってきました。


 事前情報で副反応でえらい目にあったと言う話を聞きますし、カクヨム界隈でも野々ちえさんとか蜜柑桜さんからノックアウトされてへろへろ的な話を聞いてたのでドキドキしてたんです。なんなら月曜日会社休む気マンマンで。「俺はもうダメだ、お前と一緒になれて、幸せだった。強く生きてくれ」みたいなセリフを巨乳に向かって吐く気マンマンで。


 ところが、これが、なーんにも起こらない。熱も出ない。腕も痛くならない。


 マジかよ。いや、つまんねーとか言うと怒られちゃいますけどね。肩すかし感バリバリですね。


 しかし、俺が受けた集団接種会場、すごかったですねー。何がってスタッフの人数が。建物の入り口から五メートルごとにスタッフが立っていて、「こっちです」「接種券用意してください」「問診票書いてありますか?」「免許証出しておいてください」と口々に案内してくれる。動線なんて間違えようもないです。多分百人近くスタッフがいました。


 三箇所ある医者の問診ブースで問診受けたあと、五箇所ある接種ブースできれいなおねーさんから肩に注射打ってもらって、はい終わり。またスタッフが案内に来て、「ここで十五分待機してくださいね。何もなければ帰っていいです」と言われて十五分ぼーっとして帰ってきました。待機時間入れても所要時間三十分ほどでした。


 すでに高齢者向け接種を二か月くらいやってるから慣れてきていたのでしょうが、ものすごいスムーズでして。ビビりましたね。会場の設営もきっちり作ってありましたし。あれは国政選挙の会場設営を参考にしたんでしょう。なんとなく選挙の投票所会場に似た雰囲気でした。最初集団接種やると決めてから始まるまで二週間くらいしかなかったと思うのですが、よく準備しましたよ。初期は予約システムの障害とかで多少混乱したかもしれませんが、対象者のボリュームが一番増えるこの時期までに慣れればいいという見切りだったんでしょう。いや、日本の行政、ボロカス言われること多いですけど、こういうところ素晴らしいです。もっと評価されてしかるべきです。


 話それますが、俺が日本の行政すごすぎと思ったのは、実は第二次世界大戦末期の終戦時の玉音放送なんです。


 あれ体験手記を読んでると「ラジオの雑音がひどくて何言ってるか聞こえなかった」という話はよく出てきますが、「そんな放送やってるなんて知らなかった」という話が一個もないんですよ、一個も。少なくとも俺は読んだことがありません。これ、すごくありません? ほぼすべての国民に周知が行き届いた、ってことですよ。戦争負け寸前の最末期に。


 学生時代に調べたところ、驚きの史実が判明します。ポツダム宣言を受諾して降伏することは八月十日に決定していましたが、それを諸外国に伝達しただけで政府は何もしていません。玉音放送で国民に降伏したことを知らせることが決まったのが前日の八月十四日正午。そこから一晩で原稿を書いて、天皇陛下の肉声を録音して、国民に十五日正午から重要な放送があるから必ず聞けと周知し、各地の駅前に公衆ラジオを設置して翌日放送をほぼすべての国民に聞かせた。この手際、驚愕です。戦争には負けたけど、統治機能は負けていなかった、というのは本当だったんですね。


 この周知力、心底感服します。同じ敗戦国となったドイツは無政府状態になってましたからね。数えきれない民間人の悲劇を生んでしまい、とても肯定的に見ることができない大戦中の日本という国家ですが、最後まで統治力を失わなかったこと、この一点だけに限って、俺的にはよく頑張ったな、と思うのであります。まあ、外地や占領地域、特に樺太なんかはガタガタにされてましたけどね。


 話が大脱線してしまいましたが、なんの話してたかというと、ワクチン接種無事完了しました、というご報告でした。


 あまりにワクチン打ってくれたおねーさんがきれいだったので、「せっかくだからケツに打ってください」と言いたくなったのをガマンしたのはナイショです。

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