誰のもの?

井上 流想

1話完結

一匹の小熊が言いました。

「山は誰のもの?」

太陽は答えました。

「誰のものでもないよ」

小熊は言いました。

「人間のものだと思ったけど違うんだね」


イルカが言いました。

「海は誰のもの?」

太陽は答えました。

「誰のものでもないよ」

イルカは言いました。

「人間のものなんだろうな~って思ってたよ」


渡り鳥が言いました。

「空は誰のもの?」

太陽は答えました。

「誰のものでもないよ」

渡り鳥は言いました。

「てっきり人間のものだと思ったよ」


ミミズが言いました。

「地下は誰のもの?」

太陽が言いました。

「誰のものでもないよ」

ミミズは言いました。

「人間のものだと思い込んでたよ〜」


猫が言いました。

「地球は誰のもの?」

太陽が答えました。

「誰のものでもないよ」

猫は言いました。

「人間のものみたいにみえるよな〜」


男の子が言いました。

「命って誰のもの?」

太陽が答えました。

「誰のものでもないよ」

「誰のものでもないの?!」

「君のものでも、ご両親のものでもない。

誰のものでもないから大事に扱わなきゃいけないよ」

「どういうこと〜?」

「自分のものだと思うと勝手になる、

他人のものだと思うともっと勝手になる。

私たちは借りているんだよ。

借りてるものは大事に正しく扱わなきゃね。」



太陽は優しく微笑みました。

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誰のもの? 井上 流想 @inoue-rousseau

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