第14話
俺は戸惑っていた。
神を救って欲しい。其れはわかる。けれど、自分を殺して欲しいという魔王の意図が分からなかった。
「何故、殺して欲しいんだ?」
魔王は努めて、平静を装って話した。
「我は魔王から逃れられぬ。このままでは、今までのように勇者に殺されて、魔族はまた虐げられる。そもそも、この戦がどちらから始めたかも分からなくなったにも関わらず。殺されたから殺し、騙されたから騙しの繰り返しだ。我は、我は全てを変えたかった。救いたかった。人族と魔族の争いから、忌まわしき因果律から。なのに、なん、でなんでどの種族も手を取り合わない!約束しただろう!?あれだけ固く誓ったのに、あれだけ笑顔で溢れていたのに、全て裏切られた。」
魔王は泣いていた。そして、嗤った。
「もう、嫌なんだ。けど、諦めたくない。今までの自分の軌跡を否定したくない。否定して欲しくない。だから、ここで終わらせてくれ、お前と言う抗えない力で。」
魔王は最後の力を振り絞るようにそう言った。
何故?
俺はそう言った。知るべきでは無かった。知ってはいけなかった。
いや、知らないふりをしていただけだった。
魔王の言う通り、聞こえなくなった電子音の言う通り、俺には力がある。
けど、認めたくないのは俺だった。
だって、だってだってダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテダッテこの力は、、、
お前から貰ったのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます