第13話
魔王はゆっくり、厳かに語った。
「この世界には勇者や、魔王、神がいる。魔王はこの我のことだ。これらの役目には特徴がある。まずは、我つまり魔王のことから話そう。魔王とは«魔を従えるもの、魔を討つもの»といった意味がある。それ故に人族から偏見の目で見られることが多い。これまで何人もの魔王が人族に討たれてきた。」
魔王は悲しそうに話していた。
「次は、勇者だ。勇者は魔王と同時期に現れると言う。この世界の者や、汝のように異世界から召喚されるもの達の2種類がある。勇者は人族に称えられ賞賛される。
最後に神について話そう。申し訳ないが我も神について知っていることはほとんどない。唯一知っているのは神という役目以上に不運なモノはないということだ。」
魔王はなんともなしに、そう言った。
「不運とはどういうことだ?」
流石に聞き逃すことが出来ず、魔王にきいた。
「、、、、、、、神とは・・・・・であるから、我らにとって・・・・なのだよ。」
魔王が言葉少なにそう説明した。
な、なんだ!?き、聞こえてたはずだった。なのになんで<聴こえない>?どういうことだ?
「魔王、聞こえていない。故意なのか?」
「、、、それが、それこそが神が不運な訳だ。神はいや、我々はこの世界の因果律を超えることは出来ない。〈この世界の我々〉はな、」
「?ということは俺なら大丈夫なのか?なのに何故俺に聞こえない?」
「この我が影響を受けているからだ。忌々しい因果律にな。」
魔王は悔しそうに悲しそうにそう言った。
「この世界の役目は因果律によって定められる、逃れる手立てはない。ひとつを除いて、な。」
「つまり、魔王お前は俺に何を求めている?」
訝しげに俺は魔王に聞いた。
魔王は笑った。嗤っていた。
「救ってくれ、いや救え。この世界の神を。こんなクソみたいな世界に囚われた哀れな神を。たった一人の神<少女>を。
そして、赦してくれ〈殺してくれ〉この逃れられない運命に囚われたここにいる哀れな魔王をな。」
その瞬間魔王は、初めて黒い布を外した。今までどこにいても外さなかった布を。声は布にこもり、男か女か分からなかった。
そこに居たのは、一人の美女だった。
眺めていると何処までも吸い込まれそうな黒髪に、全てを見透かすかのような黄金の瞳。
まさに美女いや、聖女と言っても過言ではないほどの美しさだった。
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