第11話

俺、野川 海鈴〈のがわ かいり〉は硬い床の上に倒れていた。


腹減ったと思って冷蔵庫を見るとちょうど何も無かったので近くのスーパーに買いに行こうとして、家の玄関の扉を開いた瞬間眩しい光に包まれた。

そう思った瞬間、硬い床の上にいた。

わけも分からず、固まっていると、


「救世主さま!よくぞまいられた!どうか、我らの窮地を救ってくだされ!そして、憎き魔王を討ってくだされ!」


一瞬、オークがいればこんな見た目かなと思うようなぶくぶくに太って禿げたおっさんに声をかけられた。


「貴方は、誰で、ここは何処ですか?」


わけも分からなかったが、今の自分の現状を知るために質問をした。


«答 ここはマスターの存在した名称<地球>ではなく、マスターから見ると異世界とされる世界〈グランディア〉です。目の前にいる男は3つある大陸のひとつ<ディナール>にある小国〈スゴミデ〉の王である、<シタワ・スゴミデ>です。»


目の前の男が答える前に頭に電子音がした。


「ここは、救世主さまのいた世界ではなくてですね、、、、、、、」


男が喋りだしたが、電子音の声の主に聞いた情報なので適当にうなづいて違うことを考えていた。


(質問だ。魔王は実在するのか、ホントに魔王は悪なのか?この男の言っていることは正しいのか?)


«答 «魔王»は実在します。しかし、そこの王の説明は間違っており、マスターの存在した世界とは違う意味で魔から全てを守るものという意味で魔王と呼ばれています。»


つまり、この男が言っていることは嘘でも魔王は良い奴ということか?

けどこの電子音を信じていいのか?

どうすればいい「やってくれたな、スゴミデ・シタワ。」


考え事をしていると、突然俺の隣に全身を黒い布で覆われたナニカが現れた。その瞬間この場にとてつもない威圧感と恐怖が襲った。


「な!?ナゼ、貴方様が!?」


スゴミデ・シタワと呼ばれた男は、慌てふためき、その場で尻もちを着いていた。周りにいた騎士達は驚愕の表情をしつつも、平伏して顔は下を向いていた。


「よくも、召喚なんぞしてくれたなぁ?まさか、我でも少しの間気付けないようにするとは驚きだが、この者のような巨大な力を隠せると思うなよ。この戯け!」


そのナニカは、兵や男を睨みつけた後、こちらに向いて話し始めた。


「初めまして、異世界の人よ。我はこの世界の魔王だ。この度はこの世界の者が多大な迷惑をかけた。謝罪する。」


その瞬間、今まで感じていた。威圧感や恐怖が消え去った。

俺の意識はブラックアウトした。


「えっ!?ここで気絶するのか?まだ我、何も言ってな、、、、、、、」


意識が無くなるまでの間、魔王と名乗った何かが慌てたように見えた。

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