第3話
幾つもある物語の中、色あせないのは[英雄]により描かれる物語。
時に立ち向かい、時に嘆き、時に怒り、時に歓喜する。
そんな物語。
誰もが憧れ、自身もそんな[英雄]になりたいと願う。
ある物は言った。
「そんなものは実在しない」と。
あるものは嘲笑した。
「そんなものはくだらない」と。
そんな中、唯[英雄]になることを諦めなかった。そんな少年がいた。
少年は言う。
「何故、嘲笑うのか」と。
「幾人も、幾万幾億の人々がなろうと願い、叶わず。ほんのひと握りのもの達が成ったそんな[英雄]をなぜ笑うのか」と。
「そんな、ひと握りの何万、何億分の1になれたなら、
胸張って、頑張ったって言えるだろ?」
◇◇◇◇◇◇
雲一つない、まるで吸い込まれそうなほど蒼く何処までも続く空。
ピクニックに相応しく、今にも小鳥達の声が聞こえそうな程だ。
そんな中に2つの異物がある。
片や、家が10軒並んでも足りない程に巨大なドラゴンと。
方や、何処にでも居そうな、だけれど異質な歳の頃は15.6歳の少年。
そのまさに正反対の異物たちの間では今にも弾け飛びそうなほど、空間が歪んでいた。
ドラゴンが、痺れを切らしたように、自身の数倍もの巨大な炎を吐いた。
まともに当たれば、灰すら残らぬ程の温度で少年に襲いかかった。
「GUGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」
ドラゴンは少年を嘲笑う様に少年に向かって、叫んだ。
少年は、嗤った。
「始まって早々に強キャラ、本当に世界は理不尽だ。けどこれは俺の物語!誰にも、どんな者であっても、神であろうが!邪魔はさせない!」
「今!ここが我が生涯の分岐点!諦めた夢を、昔願ったあの思いを!過去を、現在を、未来を!己が行く道を掴み取れる力をここに!グコーシス!」
少年の手にはいつの間にか、1本の長剣が握られていた。
「code:brake=Distortion〈歪曲Lv3〉」
少年が長剣を目の前に掲げ、一言告げると、
ドラゴンの吐いた炎はまるでそう予定していたかのように、少年の前で途切れ、次の瞬間にはドラゴンの真上や真横、全方位から襲った。
「Gi!?」
ドラゴンは声を上げるまもなく、消えていった。
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