閑話休題

JAPAN-2、その安全保障

JAPAN-2ジャパンセカンドは、日本をルーツとしたありとあらゆる業種の企業を内包し、すべてがJAPAN-2ジャパンセカンド内で完結する、


国家様こっかよう総合企業体>


である。そのため、JAPAN-2ジャパンセカンドそのものが一つの都市として機能していた。ゆえにその都市の名も、<JAPAN-2ジャパンセカンド>なのである。


他の都市とのやり取りはすべて<渉外部>が一括して執り行っており、それ以外の部署が直接取引を行っているわけではない。各部署が他の都市の企業等と渉外を行う場合も、実は渉外部にも同時に籍を置いている役員や職員が行っているだけで、権限そのものは渉外部が持っているのが実情だった。


これは、他の都市が何らかの問題により大きく力を失ったりした場合の影響を、JAPAN-2ジャパンセカンド内にまで波及させないための安全弁の役目を持たせているからだ。


基本的に<国家に準ずる機能>をJAPAN-2ジャパンセカンド内だけで再現しており、他の都市との交流を絶っても機能が損なわれないようになっているのである。


かつて、地球においても<グローバル経済>が浸透するにつれ、ほとんどの国民が名前も知らないような遠い国で起こった政変等が自国の経済にまで大きく影響を与えてしまうまでに至ったことを反省し、基本的には自国ですべてが完結するように仕組みを改めていったのをさらに発展させたものなのだ。


一部では、


<鎖国システム>


とも揶揄されるものの、決して鎖国することが目的ではない。あくまで、他国の問題によって自国の屋台骨まで揺らいでしまうようなことを避けるための、<安全保障>の一環なのである。


ゆえに地球の日本でも、国防の手立てを自力で確保するために憲法を改め、


『あくまで日本の国土防衛に徹し他国に対して先制攻撃は行わない』


という理念を堅持した上で<自衛隊>を<自衛軍>としたのもその流れの一つと言えるだろう。


この<自衛軍>の一部が<戦術自衛軍>として火星に派遣されてJAPAN-2ジャパンセカンドの防衛に当たっているのが現状であり、つまりJAPAN-2ジャパンセカンドそのものは<軍隊>を保有していないので、あくまで<国家様こっかよう総合企業体>とされている。


併せて、警察及び消防も日本からの出向によって賄われており、独自の警察機構などは有していない。


その一方で、行政については、<総務部>が日本政府から正式に業務を委託されていたりもする。


ゆえに、当初は各部署の連携が十分に取れていなかった時期もあったものの、現在ではAIによるサポートもあり、そこのところはおおむね解決されていると言えるだろう。


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