アリシア、最後の戦い
さらにトールハンマーでアリシアを狙うランドギアに対し、アリシアは攻めに転じる。高脅威に対して守りに入っていてはジリ貧だからだ。
だが、ランドギアに向かって走る彼女を、砂煙が覆う。アヴェンジャーだ。アヴェンジャーの斉射を受けたのである。彼女はそれを、女神の盾で受ける。
受けつつランドギアに走ってトールハンマーを奪い取り、狙撃。女神の盾の隙間から放たれた質量弾がアヴェンジャーを斉射していた軍用ロボットヘリ<フライングタートル>のセンサー部を捉え、破壊。目も耳も失ったフライングタートルは地上に向けて降下を始めた。
「……」
手にしたトールハンマーを捨てつつ黙って空を見上げたアリシアに、トールハンマーを奪われて突き飛ばされて転倒していたランドギアが体を起こし、組み付いてきた。完全にアリシアの失態だった。失念していたのだ。ロボットしては有り得ないそんなミスをするほどに、彼女の機能はすでに損なわれていたのである。
単純なパワーではアリシアを圧倒するランドギアに組み付かれ、彼女は押し倒された。ランドギアに搭乗している人間も必死だ。そしてランドギアの機体に、アリシアが身に着けていた手榴弾のピンが引っ掛かり抜けて、そのまま爆発。
破片をばらまくタイプの対人手榴弾だったこともあって。わずかに残っていた女神の盾を構成するドローンも、防弾処理されていない側に破片を受けて破損。機能を失い、役目を終えた。
とは言え、アリシア自身は対人手榴弾の爆発程度では大して影響を受けない。しかしランドギアの方は、廃熱口から破片が飛び込み、搭乗者が負傷。こちらも動きを止めた。満足にメンテナンスも行われていなかったそれは、本来なら廃熱口に設けられているはずのカバーが、粗悪なもので代用されていたようだ。拳銃弾すら防げない、ただのプラスチックのカバーで。
「……」
動かなくなったランドギアの下から這い出したアリシアは、周囲を見回し、索敵。高脅威な動体が存在しないことを確認。今度こそ状況が終了したことを確認した。
これでもう、
「千堂様……ありがとうございました……お役に立てて嬉しかったです……」
言いつつその場に膝を着き、うなだれる。顔の右半分を失い表情を作れなくなっていたはずの彼女の
だがそこに駆け付けたのは、
「アリシア…!」
クラヒだった。クラヒがどこかから小型のユニッククレーン付きトラックを調達して現れたのだ。
そしてクレーンを使ってアリシアを荷台に乗せ、しかしランドギアの方は搭乗者がまだ生きている気配があったからか諦めてトラックに乗り込み、走り去ったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます