明帆野、地球の盆に倣う
こうして
「
と、夕食の用意をしつつ告げてきた。
「いかがいたしますか? 秀青様」
アリシア2234-LMNが尋ねると、
「そうだな。レポートも終わったことだし、せっかくだから見に行ってみるか」
すっかり柔和な様子で応えた。かつての刺々しい彼の姿はどこにもない。
そして同じ頃、
「今夜はお祭があるから、行ってみるかい?」
「うん!」
と応えていた。結愛も、両親と共に明日には
だから森厳もレティシアも、曾孫も同然の結愛のために祭にいく準備を行った。タクシーを呼んで。
もっとも、<タクシー>とは言いつつ、実際には営業としてのタクシーではない。住民のために運用されている<小型乗り合いバス>のようなものだった。ただし、常に運行されているわけではなく、連絡が入れば、それらを繋げて回り、目的地へと運んでくれる。ただし主な目的地は、湖の玄関口であり、フローティングバスの発着場があり、イベント用として貸し出されることもある港であるが。
結愛のために森厳が手配し、同時に、
この辺りはさすがにAIを用いて簡単に確実に設定されるものの、運転は港湾施設の職員が兼任している。
これも、他の地域ではロボットが活躍するところではありつつ、
そして宿角家の前に到着した小型バスに、結愛と結愛の両親と森厳とレティシアが乗り込んだ。そこにはすでに他にも乗客の姿が、
「こんばんわ」
「はい、こんばんわ」
顔見知りでもあることから親し気に挨拶を交わし、席に着く。
「こんばんわ♡」
結愛も可愛らしい様子で挨拶をした。
「あらあらこんばんわ、相変わらず可愛らしいね、結愛ちゃん」
結愛も何度も森厳とレティシアの家を訪れていることから、近所の住人には知られていた。
それから何軒かを回り、
そして秀青が乗り込み、結愛の姿を見た時、
『あれ……? どっかで見たような子だな……』
とは思いつつ思い出せなかったことで敢えて挨拶は交わさなかったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます