警備用レイバーギア、要注意対象を察知する
無論、現在のAIであれば、作詞作曲や絵画を描くといったことさえ可能ではあるものの、人間にとって耳に心地好い音楽を作ったり『いい絵だ』と感じるような絵を描くこともできるものの、しかしそこからは、
<魂そのものが揺さぶられるような、言葉には表しがたい何か>
が感じられることはなく、<ただただ浪費されるだけのコンテンツ>以上のものにはならないそうだ。
それは結局、作り手側であるAIに、
<狂おしいまでに表現したい何か>
がないからだろうとみられている。それでもまあ、人間自身が作ったものであっても、<ただただ浪費されるコンテンツ>に過ぎないものも少なくないので、そういうものの一種として見れば、十分に<商品価値>はあるのだろうが。
とは言え、
<AIが作った作品>
という形での話題性はとうの昔に浪費され尽くしており、
<人間のクリエイターが用意できなかった時の代用品>
的な扱いになっていることもまた事実だった。それ以上に利用しようとすると、
『人間の仕事を奪うな!』
などと反発を招くというのもある。ゆえに、件の<大規模食品生産工場>のように一切合切をロボットに置き換えてしまうことも、強い反発が想定されることから広まらないというのも事実であった。
以前、
そして強引に<ロボットへの置換>を推し進めればそれに反発する者を増やし、テロへと繋がっていく可能性も指摘されているため、ロボットを人間の代わりに<従業員>として働かせることは法律で禁止されているのだ。千堂アリシアを
そんな<大規模食品生産工場>を見詰める者達が二人。いかにもな観光客を装っているものの、その表情は険しく、嫌悪感を隠しきれていなかった。
すると、警備のために配されていたレイバーギアが、他の観光客とは明らかに様子が異なる二人を、<要注意対象>として検知。すぐさま情報を全体で共有した。
現在はこれによりテロが未然に防がれることが多い。多いが、それでも、すべてのテロを完全に防ぎ切ることは、まだまだ難しいというのも事実なのだった。
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