茅島秀青、顔をほころばせる
それをもたらしてくれたアリシアに対し、
しかし、同時に彼はまだ、子供っぽさが抜けきらず、普段の振る舞いにおいてまで素直な気持ちを表せるようにまではまだ至っていない。
それでもアリシアの方も、そんな彼の心情は察していて、
それどころか、彼のそういう部分を、『可愛い』とさえ思っていた。
「ところで
アリシアが問い掛けるものの、これも 普通のロボットは人間のプライバシーに積極的に踏み入ることはしないので、ロボットよく知る者にとっては、違和感を覚える質問だっただろう。
アリシアも、相手が、
そんなアリシアに、少し苦笑いは浮かべつつも、
「この近くに、昆虫の研究をしている専門家がいるんだ。だからこうして時々、遊びに寄せてもらってるってことだよ」
正直に応える。
「ああ、なるほど」
その<専門家>については、アリシアも、他ならぬ
年齢は、彼の祖父と同年代とのことらしいが、すごく子供っぽいところがある人物らしく、
『なんか僕より年下のような気がする』
とまで、
どこに住んでいるかまでは聞いていなかったが、まさかこの辺りに住んでいたとは。
そしてアリシアは、こうして偶然、彼に会えたことで、ハッとなった。
『そうか。具体的な繋がりはなくても こうやって再会することだってある。必ずしももう二度と会えなくなるというわけじゃないんだ。会える機会は、いつだって残されてる。お互いに生きてさえいれば…』
それに気付いた途端、気持ちが落ち着くのを感じた。
そしてそれは、アリシアの表情にも表れていて、
「なに、笑ってんだ?」
「え...っ!? ごめんなさい! 私、笑ってました…?」
慌てる彼女の様子がひどくあどけなく見えて、
「お前は本当に変なロボットだな…!」
顔をほころばせてしまっていたのだった。
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