千堂アリシア、本編を再開する
こうしてアリシアは、千堂アリシアである<アリシア2234-LMN-UNIQUE000>が『寝ている』時間を除いたプレイ時間の間に、コデットの信頼度を上げていた。後はこの信頼度を維持しておけば、コデットの<覚醒イベント>を経て<
ただ今は本編を進められないので、その時までお預けではある。
それでも、
「おはようございます」
アリシアが笑顔で挨拶すると、
「おはよう……」
と、決して目は合せないもののコデットも挨拶を返してくれるようにはなったのだから、アリシアは嬉しかった。
と同時に、ナニーニについても、彼女が音を上げるまで稽古に付き合った。
「す…すいません……もう、腕が上がらなくて……」
腕が上がらないどころか立ち上がることもできずに地面に座り込む彼女に、
「分かりました。よく頑張りましたね」
そう声を掛ける。
ナニーニは褒められた方が伸びるタイプなので、アリシアは遠慮なく彼女を褒めた。
するとナニーニも、この時にはコデットのことも忘れて、充足感に満たされる。これにより、コデットとの衝突を和らげるのだ。
そして現実の方では
そこに
「おはよう。アリシアくん。何か問題はなかったかね?」
チャット機能を用いて話しかけてくる彼に、
「はい。私も、アトラクションも問題ありません。準備は万端です」
素直に応えた。実際にその通りだった。情報収集は十分にこなせ、いつでも本編を進められる状態にある。
さらにアリシアは、アリシア2234-HHCに対して行われた不正アクセスに用いられたコードについても、独自に解析していた。
「不正アクセスコードの一部が解析できました。報告いたしますか?」
「さすがだな。では、こちらに送ってくれたまえ。我々の方でも解析はしていたが、情報は多い方がいい」
その言葉を受けて、アリシアはデータを、<ORE-TUEEE!>をモニターしている端末へと送信した。
「受信確認しました」
オペレーターの報告を受け、
「よし、データを突き合せてみよう。その間に、アリシアくんは本編を進めてくれ」
彼がそう応えたのと同時に、
「了解いたしました」
と応えつつアリシアはさっそく本編を進めるイベントを発生させた。
それは、聞き込みによって得られた情報を基に、ボーマの街に屋敷を構える貴族に面会を求めるというものだった。
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