千堂アリシア、宿角に意見具申する
不正なアクセスが検出され、リンクが切断できないという異常事態には見舞われたものの、
「影響の範囲を確認しろ」
と指示を出し、
「フルダイブユニット、こちらからコントロールできません」
「モニター用の端末Aには異常ありません」
「同じく、B、異常ありません」
との報告が上がり、乗っ取られているのは、<VRアトラクション用フルダイブユニット>と付属のデバイス、およびアリシア2234-HCCのみだと確認できたことで、アリシアが、
「意見具申、よろしいでしょうか?」
と発言、
「聞こう」
「今回の不正アクセスは、<ORE-TUEEE!>内で生じている問題と深く関わっている可能性が高いと推察されます。ですので、問題の解消に当たれば今後も同様の事態は想定されるでしょう。
幸い、影響も限定的であることから、対策も講じつつ敢えてこのまま進めることを提案します」
と申し出て、
「……そうだな。アリシアくんの方に問題がないのであれば、こちらとしては異存はない」
承認されたことで、そのまま続けられることとなった。
アリシア2234-HCCについては、今回の状況が終わった後、
<不正アクセスを受けた機体>
として、最悪、廃棄処分となる可能性もあるものの、すでに不正アクセスは受けてしまっているので後戻りはできない。たとえ改めて出直したとしてもさらに汚染される機体が増えるだけだろう。
ならばこのまま進めるのが無駄とならないと考えたのである。
こうして、アリシアはプレイを続行する。
本来のプレイならそのまま<始まりの村>へと逃げ込めるはずが、挙動にも影響が出ているのか<ORE-TUEEE!>内のアリシアは転倒してしまい、
<ハートマーク模様の牛>
に追いつかれ、踏まれて蹴られてという状態になっていた。
しかも、本編が始まっていないので本来なら何をやってもステータスには影響はでないはずにも拘わらずHPが徐々に減ってきている。
どうやらアトラクションのシステム自体も干渉を受けているようだ。
とは言え、
「どうだ? そちらでも異常は確認されているか?」
別室で、今回の作業がアトラクション自体に影響を与える可能性を考慮してモニターが行われていたものの、
「いえ、こちらには何も。平和なものです」
との返答だった。
となれば現状、大きな影響が出るのは乗っ取られたユニットのみということ考えることもできる。
「もし気になる挙動があれば子細漏らさず報告するように」
別室でモニターしている班に
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