千堂アリシア、謝罪する
脱落したチームのロボットがそこに傷を付けていなければ、アリシアは
何という皮肉。
『ありがとうございます。おかげで助かりました……!』
口には出さずアリシアは礼を述べた。
『彼らがくれたこのチャンス、無駄にはしません…!』
彼女がそう思ったとおり、辛うじて持ち堪えた視線の先には、<目標>が。
瞬間、
確実に<目標>を掴み、引き寄せる。
そうして、
なのに、神の悪戯か悪魔の嫌がらせか、ゴオッと
「!?」
接近警報に気付いたアリシアが躱そうとするものの、間に合わなかった。
ガツン!という衝撃と共に、
しかも、
それでもアリシアは、残った右足を漁礁に引っ掛け、体を反転、人差し指が折れた右手を伸ばし、何とか捉えようとした。
「届けぇーっっ!!」
つい、千堂アリシアの口でそう叫ぶ。それは彼女の必死の<願い>だった。
なのに……
なのに、辛うじて届いた人差し指は折れていて力が入らず、引っ掛けることもできなかった。
「ああ……」
思わず声を漏らしたアリシアの視界の中で、人の頭骨が遠ざかっていく。それがまた、
『アハハハハハ! 残念だったなぁ! バカロボぉ!!』
と彼女を嘲っているかのように見えた。
そして、<クグリのものと思しき遺体>は潮力発電所のタービンへと巻き込まれ、もう一見しただけでは人間の遺体の一部であったことすら分からないくらいに粉々に粉砕され、撒き散らされたようだ。
作業室はなんとも言えない虚無感に包まれたが、まだミッションは終わっていない。
<目標>の回収は失敗したとしても、
だが、ここまで限界を超えた無理を重ねた
「ごめんなさい……」
アリシアはそう謝罪を口にした。
ディミトリスに対してだった。カルキノス02を道連れにしてしまう形になったことを詫びているのだ。
けれど、
「諦めるのは早いぜ、嬢ちゃん」
ディミトリスが不敵に笑う。
「え…?」
戸惑う彼女の視界に、残った一チームのロボットが近付いてくるのが見えた。回収用のワイヤーを掴んで導いてきたのである。
なのに、僅かに届かない。
が、カルキノス02がマニピュレータを限界まで伸ばすことで、辛うじて迎えに来たロボットのマニピュレータを掴む。
双方が許容荷重を超えて相手を引き寄せ、細いマニピュレーターが折れかけた時、辛うじて動かすことができた
「ピーッ!」
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