2020年4月3日(金) 逃げるんじゃない

 猛烈に忙しい日だった。


▼午前八時 起床

 起きたらメール、Slack、チャットワークを確認。


 音沙汰がなくなっていたライターからは、まだ連絡がない。彼に伝えている締め切りは二日前。もうこれは無理だろう。

 今日がクライアントが設定した締め切りなので、腹をくくることにする。

 代わりのライターは立てられそうにないので、俺が頑張るしかない。

 クライアントに遅延の可能性がある旨の連絡を入れ、二日程度のスケジュール調整を提案した。「どうせ金曜夜に提出されても見ないだろ?」という読みだ。

 すぐに返事があり、月曜の朝にくれればOKとのこと。読みが的中、ひとまず安堵。

 だが、こういうイレギュラーな作業を残してと、ズルズルほかの作業に悪影響を及ぼす。できれば今日中に終わらせたい。


▼午前十時 仕事

 コンシューマーの案件で今日の夕方から定例会議があるので、会議用の資料を作成しなければならない。

 シナリオの方向性、狙い、簡単な話の流れ(プロット案)を記した資料を作りまくる。

 前回の会議で、ディレクターの杉江さんからは「一人一案以上作ってほしい」と言われていたが、二時間足らずで三案できた。突飛な案A、ベタな案B、本命の案Cである。


 プロット資料をSlackのチャンネルに貼り付けたところで、ディレクターから返信があった。

 新型コロナウィルスの感染を避けるため、先方の会社が全面的にテレワーク体制に移行することになったという。「今日から週末にかけて、全スタッフに自宅環境の整備を行わせる」とのこと。

 今日の定例会議はひとまず中止。プロットの持ち寄りは来週の火曜日に延期することになった。


 杉江Dが「我々も猫さんと同じ環境になりましたよ」と言ってきて、心中かなり複雑な気分だったが、異世界の話をすると正気を疑われるだけである。

 端的に「そうですね」とだけ答えた。


 遠くから猿の鳴き声がする。相変わらずうるせーな、あいつ。


▼午前一時 仕事

 気合いを入れるため、コカコーラとチオビタドリンクを混ぜた飲み物を作る。糖分と刺激を同時に摂取できる、魔法の飲み物だ。

 レッドブルをがぶ飲みするよりは健康的、経済的だと思うのだが、どうだろうか。


 コンシューマーの定例会議が流れたので、巻き取ったソシャゲのシナリオを一気に終わらせるのだ。

 ほかのライターに振っているキャラのプロットも全部俺が書いているので、何を書けば良いかは全部頭に入っている。

 集中すれば夕方くらいには終わるだろう。ヘッドフォンで外界の音を完全に遮断し、ひたすら書きまくる。


▼午前九時 仕事

 二度の短い休憩を挟んで、ソシャゲのシナリオはなんとか完成。思ったより時間がかかってしまった。

 シナリオの体裁は、一話あたり千字〜二千字の全四話構成。それが三キャラ分だから、およそ二万字くらいは書いたのだろうか。よく頑張った。


 少し休んで機械校正と見直しをし、なんとか日が変わる前に送稿。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る