4月1日 疲労の朝

 体がとても痛い。これは寝る前だと思えるほどには腕や肩や足が凝り固まっていた。

 先日走った痛みがまだ足首に響いている。運動不足の体に唐突に走りたくなったのはいいが、その後も日々座り、寝、食べるのみの生活を過ごしている。

 体のだるさに私はそのまま寝ておこうかと迷った。寝ても直らないことは承知の上だった。

 こんなに寝て、今は何時なのだろうと携帯電話を手で探り、画面を開いた。

 12時。

 小さな衝撃。とうとう午後に起きる程になってしまった。この怠惰な生活をどうにかして、長引いた春休みを有意義にしたいと悔やんだ。

 携帯電話には一軒の通知が入っていた。父親から喫煙のリスクに関するリンクが送られてきていた。禁煙すれば短期間でも重症化のリスクが減らせるらしい。

 よかった。

 これがあれば祖父を説得できるかもしれない。どうにか生きてほしい。

 祖父母の家は我が家から幾時間か離れた県の田舎町にあった。まだ感染者はそこまで出ていないが、高齢者の多い町なので孫の私は非常に心配している。

 喫煙していて野菜を食べない祖父と、滅多に体を壊さず必要以上に頑張り屋な祖母を。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る