あっちゃんの日記7

#5月27日

あなたが結婚すると言うので「今も付き合っている人と?」と訪ねると、その人には常に見せてるんだろうなって笑顔で「うん!」と答える。「やっと、決心が決まったんだね。良かったね。じゃあ、お祝いしなきゃね。離れちゃうもんね私達。」結局、私はどう頑張ってもその人にとっての一番になることが出来なかった人なので、棒読みにただ少しばかり自棄気味に続けて言った。ふと気が付くと夕方の草原の真ん中にいて、結構強く風が吹いているけど寒くは無い。私はそこで一体の案山子と出会った。フランスパンをピアニストが使う弓で切っていて、火の気がないのに場所なのに、お皿には目玉焼きが乗っている。「あなたもココで頂いてみませんか?」と言うので白い椅子に腰かけると、今度は二段ベッドの上に居て脚には車輪が付いているので知らない町の坂道を一気に下る、目の前にはトラックが見えるけどこれはパターンだと思い安心していたら、あなたの声が耳元で聞こえた「お互い、変わってしまって上手く行かなくなったよ。」そう…普段なら喜んでいたのに、これじゃ私も助からないなと溜息をついてからは景色は真っ黒だった。


#33月19日

母の敷いた海で泳いでいると、蟹が私に話しかけて来ました。「私は鴎に片手を取られたので、残った手を大きくしたのですが重くて引きずっております。」それは大変だと手を捥ぎ取ると蟹は泡を吹いて引っ繰り返り、波が来て海の方へと消えて行きました。砂の城を作る子供達、この世の子達じゃないから肌は鳥肌が立つくらいに白くて、弱い魂に寄生されていてるから会話の途中に「ニャー」とか「ワン」がノイズの様に混じらせてる。子供達は慎重に城の内部をスコップで掘っていた。「ここにニャー、住むつもりワンなんです。」頑張ってねと声をかけ私は海の家で焼きそばを食べに向かう。蝉の声が聞こえないなと、町と山の方に目をやると雨雲が来ていた。


#6月37日

水飴を落とすと蟻が集まる。足がくっ付いて身動きが出来ず、舌の細長い親戚の子が口に入れる。アパートメルトファンク、レンズに蕩けた4畳半で引き伸ばされて、線になって消えて行ってしまいそうな彼女が踊る。夕色蜩が鳴く頃には町の自販機が全て売り切れで、明かりが少ないから夜虫が何処に体を委ねて良いか分からず、チンプンカンプンに空を飛んでいる事だろう。私は人の話を聞いて、その人代わりにウンザリする。溜息を風船にして飛ばす。これだけで食っていけるんだから簡単な仕事に見えるけど結構大変で、同じ職場の顔の知らない動機が精神科に行ってしまったそうで、それっきり帰って来ないそうだ。

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